冬の華 | キ〇ガイの記録

キ〇ガイの記録

精神異常者のたわごと

 

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久しぶりに邦画を見た。一度見て、もう一度見直した。

一言で言えば、悲しい話だなあ。

 

主人公の加納は、所属する組織の裏切り者組織のために殺害する。

 

裏切り者は、養わなきゃならない子供が居るんだ、見逃してくれ、と訴えるが、加納は彼を殺害せざるを得ない。

 

理由は不器用だから。不器用って、分かり易く言えば頭が悪いって事。

彼がもし器用な人間だったら、殺さずに済んだかもしれない。上手いやり方が分かったんじゃないかと思う。

でも彼は不器用だから、頭が悪いから、分からなかった。知恵の借り方すらも。そしてできの悪い頭で懸命に考えた最善の策が、これしか見つからなかったのだ。

 

これが「冷酷に徹した」とかいう理由なら、そこで終わっただろう。でも彼は冷酷なわけではなく、不器用なだけ。だから殺した裏切り者の娘、洋子に対して、足長叔父さんをやっていた。

 

15年後、組織のトップが殺された事で、その息子に手を汚させないため、また息子の身を守るために、再び加納は組織の裏切り者を殺害した。

 

裏切り者は15年前の裏切り者と同じ事を言って懇願する。「養わなきゃならない子供が居るんだ、見逃してくれ」

 

でも加納は不器用だから、殺したくなくてもそれ以上の最善が分からない。

全てを終えた後、15年前の子供の声、そして光景が加納の脳裏に浮かび、はっとしたように自分が殺した死体の方へ振り向く。

洋子に会える日は来ない、そして再び背負い込んだ。これからも背負い込み続けるのだろうという事が察せられる。

 

高倉健、この映画で初めて見たけど、役者やってたくらいだから実は器用だろうに、こんな不器用な人間にしっかり成りきってて凄いと思った。

ヒロインの池上季実子は石原さとみに似ている気がする。