冬の華 [DVD] 3,024円 Amazon |
久しぶりに邦画を見た。一度見て、もう一度見直した。
一言で言えば、悲しい話だなあ。
主人公の加納は、所属する組織の裏切り者組織のために殺害する。
裏切り者は、養わなきゃならない子供が居るんだ、見逃してくれ、と訴えるが、加納は彼を殺害せざるを得ない。
理由は不器用だから。不器用って、分かり易く言えば頭が悪いって事。
彼がもし器用な人間だったら、殺さずに済んだかもしれない。上手いやり方が分かったんじゃないかと思う。
でも彼は不器用だから、頭が悪いから、分からなかった。知恵の借り方すらも。そしてできの悪い頭で懸命に考えた最善の策が、これしか見つからなかったのだ。
これが「冷酷に徹した」とかいう理由なら、そこで終わっただろう。でも彼は冷酷なわけではなく、不器用なだけ。だから殺した裏切り者の娘、洋子に対して、足長叔父さんをやっていた。
15年後、組織のトップが殺された事で、その息子に手を汚させないため、また息子の身を守るために、再び加納は組織の裏切り者を殺害した。
裏切り者は15年前の裏切り者と同じ事を言って懇願する。「養わなきゃならない子供が居るんだ、見逃してくれ」
でも加納は不器用だから、殺したくなくてもそれ以上の最善が分からない。
全てを終えた後、15年前の子供の声、そして光景が加納の脳裏に浮かび、はっとしたように自分が殺した死体の方へ振り向く。
洋子に会える日は来ない、そして再び背負い込んだ。これからも背負い込み続けるのだろうという事が察せられる。
高倉健、この映画で初めて見たけど、役者やってたくらいだから実は器用だろうに、こんな不器用な人間にしっかり成りきってて凄いと思った。
ヒロインの池上季実子は石原さとみに似ている気がする。