今日は午後から幼稚園の入園式の生けこみ予定
月曜日が入園式のため、土日は園が開いていないので金曜日に生けこみお願いします。
と幼稚園から依頼されていた。
生ける側としては鮮度の面でも、しっかり水揚げするという面でも
出来れば前日に生けたい。
でも、仕方ない。
持ちのいい花でないと不安でならない。花が限定される
ということで、今日は早朝から仕入れに行き、
即帰り、朝食も適当にして
早速バタバタと水揚げ作業に入る
式典の花は長い丈のものでないといけない。
元気のあるイメージの花と思うとひまわりを入れたくなる。
選んでしまった
ひまわり
思った通り水揚げに時間がかかる。
湯あげして深水につけるがなんかいまいち水上りが悪い
何度かやり直す、
そのほか
トルコ桔梗、オールドローズ系のバラ。
ガーベラ、ヒペリカム、スターチス等々水揚げをして
なんやかんやで昼近くになった。
他のものは用意している、最後までひまわりが気になったが
何とか元気になってきた。
お昼ご飯を食べたら
生けこみに出かけようかな
と思っていた12時過ぎ・・・
電話が鳴った。
幼稚園から・・・。
実は入園式が中止になりまして・・・
お花は準備されていますよね。
えっ？今なんと？
ご冗談でしょう～
と思いながら
はい、朝から仕入れて準備も終わり
もうすぐ出るつもりで・・・
などと言いながら冷静を装いたいのに
動揺が走る・・・
ですよね・・・。どうしましょう？
とお相手はなったが
それはどちらかというと
こちらが言いたい
が、
どうしようもない。
こんなにたくさんのお花・・・
スマホ片手に花をみつめる
もう園児も誰も来ないので・・・
でも用意されていますよね。
はい、
切ない・・・トルコ桔梗もオールドローズもきれいなのに、、、
ひまわり君がやっとしゃんとしたのに・・・
ちょっとお待ちくださいといってはなんども電話口で先生は
確認をとりつつお返事されてる
気の毒になってきた。
では、活けにいらして来てください
でも・・・活けても誰も来ないのでは？
でしたら
先生方でお分けになりますか？
などなど
こちらは色々言ってしまうが先生はおひとりで判断しにくいのだろう
ともかく園で相談しますので予定の時間にお花を持ってきてくださいますか？
とのことだったので
了解した。
正直動揺している。
うーんこのお花どうなるの？
たしかに今の緊急事態宣言から
想定内と言えば想定内だし
誰のせいでもないけど・・・
小学校があったので油断していた
不意打ちだった
だからといって、これを私が引き取るん
いやいやそれはさすがに変な話だし、あまりに残酷すぎる
仕方ないんか？
雑穀米のおにぎりの塊を食べながら自分と会話する。
振ってもカラカラとしか音が出そうでない
おつむをひねってみた。
この花、
新入園児さんに配れないか？
今年が何名の新入生かは知らないが
もともとそんなに大人数ではない幼稚園、
花束にしておめでとうの花束として配れば
入園式がなくなったブルーな気持ちも少しは明るくなるんじゃないかな
新入園児さんのためのお祝いのお花
誰にも見られないのに園に飾られるより
主役のみんなのおうちにあるほうがいいに決まってる
先生に相談してみよう。そう思った。
どういうパターンになってもいいように
セロファンやラッピングペーパー、リボンなど
花束も作れるだけの資材を全部用意して
ともかく色いろなパターンを想定して積み込んで出かけた。
行く道中、3日前には晴れ晴れと小学校の入学式のお花をこんな風に生けたのに・・・
ほんとに先のことはわからない。
まじか？という思いだった。
正直どんよりした。
が、まてよ・・・。
コロナのせいでみんな今、色んなことの対応に追われ
初めてのことを経験する人ばかり
こんな年の私も、若い人も、そして園児さんも・・・
私だけじゃない、
生きてたらほんとにままならぬことがあり、
生きている以上
結局それを受け入れて生きていかないといけないわけだ
大したことしたわけじゃないけど
こうしてピンチになっても考えれば何か方法はある。
やれることをしよう。
提案してダメならまた考えたらいいわと
3日前とはずいぶん違う気持ちで
ほぼ変わらない風景の桜の咲く道を
走った。
幼稚園に着いて、園長先生に提案してみた。
新入園児は7名とのこと
ならば先生さえよろしければ
この花を7等分して花束を作りますので
園児さんのおうちに配達してくださることは可能ですか？と
聞いた。
先生は
配達は可能です、でも・・・
そんなことができるんでしょうか？とお聞きになられたので
それは私が全面的に協力させていただきますと言って
提案が通った。
花を分け
花束を作り保水してラッピングしリボンをかけて完成
美しい出来とは言えないが
何も無駄にならず、誰も困らず
きっと新入園児さんも保護者さんも
入園式はないけれど
まだ入園してない園から
おめでとうの花束が先生から届けられるという事は
何よりも特別感があるんじゃないかと思うと
なんか作っていてワクワクしてきた。
いつも自分にダメ出しばかりしている私だが
今回だけは
ようやったんちゃうか？
と自分のことを褒めてあげたい気持ちになった。
ピンチから考えた苦肉の策は
なかなかいい方向に進んだんじゃないかと
超自己満足だがちょっと嬉しくなった。
大したことしてないのに自慢話のようでいやらしいですね。
すみません。
めったにないポンコツ打者のヒットだと思って
お許しくださいませ。