孤独のボードゲームレビュー
『ナショナルエコノミー』
――腹が減った。
いや、今日は“金”が減っている。
机の上に広がるのは、様々な建物カードとお金。
タイトルは──ナショナルエコノミー。
……ほう、ワーカープレイスメントか。
だがただの配置じゃない。“経済”が回る。
労働者を雇って、働かせて、建物を建てる。
そして──給料を払う。
この「給料」がクセ者だ。
プレイヤーは事業家。
労働者を職場に送り込み、金を稼ぎ、建物を増やす。
だがこのゲーム、ただ儲ければいいわけじゃない。
金はどこから来る?
答えは“労働者の財布”。
つまり、自分が払った給料が、巡り巡って自分の収入になる。
経済は回る。だが回さないと──干上がる。
……なるほど、これは“国民経済”だ。
ルールはシンプル。
メインアクションはワーカーをカード上に置くだけ。
置くことによって色々な効果はあるが、建物を建てたり収入を得たり建築資材を得たりと、その場その場の状況で最適解を見つけ出す。
しかし、これは曲者だ。
建物を建てるのにお金はいらない。代わりに手札を消費しないと建てられないのだ。
手札を増やすためには建物の効果を使わないといけないがワーカーの数にも限りがある上に、色々やろうとしてワーカーの数を増やすと給料支払いも増える。
これは苦しい…
30分程度のゲームなのに、思考は濃厚。
どの建物を建てるか、いつワーカーを増やすか。
一手ミスると、資金繰りが厳しくなってせっかく建てた建物を売ってお金にしないといけない。
自分だけ使える建物だったのが、売ってしまえば共通の建物として誰でも使うことが出来る。
「自分だけ儲けたい」
「でも払わなきゃ回らない」
……このジレンマ、クセになる。
このゲームの肝は、“循環”。
・労働者に給料を払う
・労働者が消費する
・その金が企業に戻る
「現実の経済をゲームにしているということか。」
噂に違わぬ名作のリメイク
プレイ感は軽いのに中身は濃い。
最初はワーカーの給料を支払うことで手一杯なのが終盤には新しい建物をいかに効率的に建てるか、勝利点を見据えての行動が見えてくる。
やることはワーカーを置くだけなので初心者でも遊べるが、
カードのめぐり運は多少あるし資金繰りがシビア過ぎるので優しさは無い。
ボードゲームを初めて遊ぶ人に出すゲームではないが、一度は試してほしい魅力がコンパクトな箱の中にギュッと詰まってる。
……ふぅ。
これは見た目ほど軽いゲームじゃない。
軽い顔した重いゲームだ。
短時間でここまで「経済」を味わえるとは。
なかなかどうして、やるじゃないか。
「……ワーカーを増やさないとやりたいことが出来ない…」
「でもワーカーを増やすと給料支払いが増える…」
「給料を払えないと自分の建物を売らないといけない…か。」
……経営ってのは、こういうことなんだな。
次は拡張を入れて遊んでみるか。

