『闘い』には勝ち負けがつきもの。
『勝つことで何かを得る』
そして、
『負けることで何かを失う』
単純ではあるが通例ではそのようになっている。
果たして、負けることから得られるものは何も無いのだろうか…。

例えばボクシングの試合で、
相手の片目が明らかに骨折によって塞がって腫れ上がり、血が吹き出ていたら、
そのウィークポイントを攻撃する事で、
勝利を掴む事も出来よう。
ただそうした場合、
そこを攻撃しない闘い方をするボクサーに、
僕は、そのファイターとしての『生き方』や『人間性』を見い出す事で、心を動かされるに違いない。
敢えて、相手の弱点を攻撃せずに、攻撃しなかった事で勝てなかったとしても、
そのファイターは、何も失っていないのだと
僕は思う。
逆に、潔さや真のスポーツマンシップ、侍のような正々堂々の精神を感じ取れるはずだ。

まあ多くの凡人は、目の前にぶら下がったニンジン欲しさに勝ち急いで、更に片目を潰しにかかるだろうが…。

『勝ち』を掴めば当然嬉しいが、
勝負とは、ただ勝つか負けるかだけではないとずっと前からそう思っている。

いかなる場面でも、
ここぞとばかりに相手の弱点を突くような、志がやけに低い卑怯者になることなく、
また、結果的に敗北しても、決して負けに恥じる事なく、
自分らしさを貫く一途な生き方に背を向けない己自身を誇る、常にそういう人間でありたいと思う。