総合ブログ化して記念すべき1つ目の記事はこのアルバムのレビュー。

リアムギャラガー。言わずと知れたUKロックバンド「Oasis」のボーカルであり、ギャラガー兄弟の弟である。
オアシス解散後のリアムの動向については、知っていれば知っているほどファン度が強いと自分は思っている。

オアシス解散(ノエル脱退)後、すぐに「Beady Eye(ビーディアイ)」というバンドを組んだことについて知っており、彼らが出した2枚のアルバムについて知っていればかなりのファン。オアシス解散後何してたのかすら知らないというならファン度は低めといえる。

この記事では、できればファン度が低めな人たちにも見て欲しいと思う。それくらい今作は出来がいい。

前作「As You Were」で、ソロとして充分にやっていける実力を示したリアム(出来の良さと裏腹に全く話題にならなかったことが不満)だが、今作は前作と同じく(もしくはそれ以上に)ソロの充実感を示した。(前作のレビューは順序が入れ替わるが、この次の記事で書く予定)

先行シングルで4曲(「Shockwave」「The River」「Once」「One of Us」)をリリースしたが、正直言えば前作の先行リリース(「Wall Of Glass」「Chinatown」「Greedy Soul」「For What It's Worth」)に比べれば、そこまでの衝撃はなかった。
そのため、そこまでの期待はしていなかった。

しかし蓋を開けてみればどうだろうか。

これぞリアムというストレートなロックンロールをベースにした前作に比べ、バリエーションに富んだ今作は、前作よりもクオリティは高いと思う。個人的にだけど。

1. Shockwave
先行リリースで聞いた時、個人的には「いかにもリアムだね」と思った。別に悪くはないけど、個人的には前作の「Wall Of Glass」の衝撃ほどではなかった。
それでも「They try to keep me locked away. But hallelujah, I feel free.」と言われてしまうと、ワクワクするし「All your darkness~」からのリアムのボーカルには感じる何かがある。
結局、このアルバムを聴いた自分たちは、何が好きでこのアルバムを聴いているのかって思い出させてくれる。
きっとそれはリアムの声と生き様なんだろうなって。
ストレートなロックンロール。新鮮味なんてないけど、ロックンロールが廃れた今だにこのサウンドを鳴らすことに意味があると感じさせてくれる。

2. One of Us
個人的に今作のベストトラック。
先行リリースされた時、MVが公開された時、誰もが「ノエルに対しての曲でしょ」って思った曲。
そりゃそうだ。たとえ歌詞に「Live Forever」なんていれなくても、みんなそう解釈するでしょ。
まあ歌詞の真意はリアムにしかわからないことだが、曲としてみても今作で1番好きだ。
大仰にならないストリングスのアレンジ。間奏の乾いたギターもいい。どことなくサイケ期のビートルズを思い出させる。
元祖UKロックをベースに現代サウンドとアレンジに昇華した。これが今作のコンセプトであり、いいところでもある。その代表作がこの曲だ。と、個人的には思っている。

3. Once
ロックバラード。リアムの声にはこの曲調がやっぱり似合う。前作の「For What It’s Worth」に張り合えるのはこの曲だろう。
初めてYouTubeに公開された時、一気にアルバムの期待値が上がった。コメント欄もみんな盛り上がってたな。ライブでの合唱は確定でしょ。
曲の良さは聴けばわかることだが、歌詞もなかなか。
「One of Us」で、オアシス時代を思い起こさせるようなことを歌っておきながら「You only get to do it once」と歌うのが面白いというか切ないというか。
王道なメロディで引きずりたくなるけど、割とあっさりと3分半くらいで終わるのが好判断だと思う。これがアルバムの中で浮かずに、アルバムの一曲として機能する一因だと思う。多分ライブで聴いたら泣くだろうなあ。

4. Now That I’ve Found You
イントロが流れた瞬間「好き」ってなった。
というか、オアシス→リアムって流れてきた人なら嫌いな人いないんじゃないかこれは。
曲としてはストレートでポップでわかりやすい曲だと思う。
どうアレンジするかでアーティストの味が出るものかなと。
ビートルズなら間奏でハーモニカ入れそうだし、イーグルスならマンドリンをバッキングに入れるだろうし、、
そういう意味ではリアムはそんなに味付けしてない。でも元がいいからそれでいいのかもしれないな。
我々は極上の蕎麦に卵だったり、とろろ芋だったり、大根おろしだったり、鴨肉だったり、いろんなものをトッピングして美味しくしていく。でも結局好きなのは「蕎麦」と「蕎麦汁」と「山葵」と「ネギ」だったりする。そんな感じ(わからないだろうけどね)。
なんでリアムを好きになったんだっけ?
オアシスが好きだったから?
なんでオアシスを好きになったんだっけ?
UKロックが好きだったから?
ビートルズが好きだったから?
こんな感じで、改めて好きになった気持ちを思い出させてくれる曲だと個人的に感じた。
YouTubeに上がってたアンプラグドバージョンが最高だった。ぜひライブでハンドクラップしながら一緒に歌いたい。

5. Halo
前半4曲が終わり、アルバムは中盤へ。
イントロのピアノの連打はどことなくBeady Eyeの1stを思い出させるが、そこではただの50'sロックンロールの模倣で終わってたものが、より洗練された印象がある。
「When it’s freezin’~」からコーラスが入るが、個人的にポールっぽいなって感じる。それがまたビートルズ調のように聞こえて、懐かしさを感じるんだよなあ。
単調にならずにちゃんと展開してるのがいいわ。Beady Eyeは好きだったけど、やっぱソロの方がいいよ。圧倒的に。

6. Why Me? Why Not.
はじめはBeady Eyeの2ndっぽい。と感じた。
表題曲にしては地味だなと思ったが、なかなか悪くないぞ。
ホーンが全面に出たアレンジとか、間奏のギターソロとかかっこいい。
ファルセット使ってボーカルとしての表現の幅が格段に上がったよね。まあライブではファルセット使わないんだろうけどさ。
個人的にはライブでアウトロを大胆にホーンソロにしてアレンジ加えたらたまらないと思うんだよなあ。是非ともやってほしい。

7. Be Still
イントロからリアムらしいロックンロール。
ここでもやっぱりホーンのアレンジが効いてる。
まあ個人的にそこまで特筆するような曲ではないと感じるけど、こういう地味な曲がアルバムのカラーを決めるから重要だったりする。
ストレートなメロディだけど、アレンジがうまいからアルバム後半の1曲としてちゃんと流れを作ってる。
3分で終わる。ライブ映えはしそうだね。

8. Alright Now
はじめは、どこのハリソンですか?って思った。
前曲があっさり終わってくれたから、展開するこの曲が活きている。
浮遊感のあるアレンジといい、ギターソロといい、本格的な曲でアルバムでもかなり好きな方の曲です。ええ。
そして個人的に今作の中でドラムが1番いいと思う。
だけど、正直ライブにおけるバックバンドについて自分は不満。特にドラムのチューニングがひどい。
スタジオバージョンも同じ人が叩いてるのかは知らんけど、もしライブでやるならちゃんとこれ再現してほしい。。
現バンド編成の「Rock’n’ Roll Star」のドラムを初めて聴いた時ずっこけたレベルだからさ、、

9. Meadow
今作は鍵盤のアレンジもいい。
そしてこのメロウな感じは、Beady Eye期を思い出させるような気がする。「Wigwam」とか。
多分ライブで化けるだろうな、と思う。だから是非ともライブでやってくれ、、
個人的にこういう曲はジョンレノンっぽさもあり、中期ビートルズを思い起こさせてくれるから好きよ。アウトロでもう少しドラムにおかずがあればなあ、と思わずにはいられないけども。

10. The River
先行リリース時に「いかにも(略)」と思った曲。
でもちょっとメロディの回し方とかはゲムが作る曲っぽい気もする。
「Shockwave」「The River」のリリースは正直言えば、アルバムの期待値を下げた(「Once」と「One of Us」がリリースされて覆ったけど)。メロディが弱く感じてね。
こういう曲こそリアムらしくていいじゃないか!って反論はごもっともだけど、せっかくの2ndなら前作からより洗練されてほしい、、というのが個人的な想い。間奏とかは考えたなとは思うけど。
しかし前2曲がスローナンバーで、その流れで聞くといい。というか先行リリースで聴くより、アルバムの流れで聞いた方がよくないかこれは。
というわけで、アルバムで個人的な評価が上がった曲です。


11. Gone
一応アルバム最終曲。はじめはボートラもアルバム曲だと思って聴いてたもんで、最後の曲だと思ってなかったし、それで違和感なかった。
最後の曲だと思って聴くと、確かにドラマチックな展開で、アレンジも凝ってるのがわかるけど、アルバム途中の一曲として聴いてもそんなに違和感ない。それは多分仰々しいアレンジではないからかな。
確かに後半のストリングスの追い込みやコーラスなんかはアルバムを締めようという展開に聴こえるけど、そんなにくどくないからサラッと聴ける。
個人的にボートラの出来がいいから、ボートラ含めてアルバムとして聴くのもアリかなと思う。
この曲をアルバムの最後として聴くか、ボートラを含めてアルバムとするかで印象が変わる。
後者と捉えるならこの曲はライブ本編の最後の曲。ボートラがアンコールって感じかな。

12. Invisible Sun (ボーナストラック)
激しく歪んだギターからリアムらしいロックンロールへ。
リズムに重点を置いたアレンジと音作りは「Dig Out Your Soul」っぽい。
別にそんなに目立つ曲ではないけど、ライブ映えはしそうな曲。

13. Misunderstood (ボーナストラック)
なんかメロディはLittle Jamesっぽいなーって思った。アレンジが抑えられていて素晴らしいバラードに仕上がってる。リアムのボーカルも素晴らしい。まあここでもやっぱり「ジョンが好きだねえ」って感じはするんだけども笑。
今作に共通して言えるんだけど、こういう曲のアレンジを仰々しくしなかったのが本当に英断だと思う。これで展開作りまくって6分越えとかやられたらくどいし。
うまい具合に「隠れた名曲」くらいのアレンジに留めてるのがいいよね。
オアシスの初期の頃はこのクオリティの曲が大量にシングルB面に入ってたんだよなあ。この曲はそういう意味では「The Masterplan」に入ってても違和感ないかも。

14. Glimmer (ボーナストラック)
ボートラをアルバムとして聴くのもアリだっていうのはこの曲が素晴らしいから。
サビのリアムのボーカルなんて初めて聴いた時涙出そうになったレベル。
「Now That I’ve Found You」聴いた時も思ったけど、こういうポップな曲歌わせたらリアムの声は強いと思う。
間奏のピアノなんかはちょっと「In My Life」を思い起こさせるし、余韻を残しつつもサッと終わらせる感じは懐かしささえ感じる。
結局のところ、こういう曲が好きですわ。
前作みたいに凝ったアレンジのラストも良かったけど「ポップな曲をライブの最後に観客と歌って終わり」みたいなアルバムの締め方好きです。賛否あると思うけど、個人的にはボートラもアルバム曲と捉えたいです。

というわけで、ボートラを含む全曲感想終了。
あくまで個人的な感想だし、専門的なことは何もわからないんで、そんなに真剣にとらえないでほしいです。
しかし、リアムがソロとしてのキャリアをスタートさせて、本当に充実しているんだろうというのが伝わってくる。
全曲共作にしてボーカルに集中したからか、ボーカルとしての表現力も磨かれている。

オアシス全盛期の声があまりに素晴らしすぎたものだから、ファンはどうしてもそこと比べてしまうかもしれない。でも正直言わせてもらえば、それでこのソロアルバム2枚を受け付けない人がいるならファンじゃなくてアンチだと思う。
06〜09あたりのリアムのやる気のなさ&ひでえボーカル。やや声は回復しても空回りしていたBeady Eyeの活動。それらを経て、ここまでやる気と活力に溢れたアルバムを2枚も作ったことは賞賛できるでしょう。

1枚目「As You Were」のアルバムレビューは順番前後して次の記事でやろうと思ってるけど、このアルバムをきっかけにリアムのソロを聴き始める往年のファンがいてもいいと思います。
そしていい意味で年取ったリアムをぜひとも聴いてほしいと思います。