<漢方薬・中医学>過敏性腸症候群〜ストレス溜まるとお腹痛い〜 | 雲のように風のように

<漢方薬・中医学>過敏性腸症候群〜ストレス溜まるとお腹痛い〜

娘はすぐお腹痛くなる。

 

特にストレス溜まると、お腹がキューっと痛くなるみたい。

 

病院行って診てもらってもなんともない。

 

過敏性腸症候群なんですよね。。。。

 

 

 

過敏性腸症候群というのは中医学的に言うと「肝脾不和」となります。

 

自律神経系の過緊張状態(肝気鬱結)に伴って

 

消化吸収障害(脾胃気虚)がみられる状態です。

 

代表処方は「四逆散」

 

構成生薬は柴胡・芍薬・枳実・甘草。

 

柴胡と芍薬の組み合わせが脳の興奮性を鎮め自律神経系の緊張を緩和し

 

肝気鬱結を鎮静・鎮痙・鎮痛作用によって鎮めます。

 

作用的には相乗的に働く上に

 

柴胡の燥性を芍薬の滋潤性で打ち消すので

 

まさにベストパートナー!

 

芍薬と甘草の組み合わせは

 

足が攣った時に飲む「芍薬甘草湯」からも分かるとおり

 

骨格筋だろうと平滑筋だろうと筋肉の緊張を和らげる鎮痙・鎮痛作用を持っています。

 

枳実は胃腸の動きを良くして

 

胃の中の食べ物を下へ送ったり、ガスを排出して膨満感を除いたりします。

 

以上より

 

ストレス溜まってキューっと痛むって時には本当によく効きます!

 

胸がキューっと痛い!腹がキューっと痛い!とかね!

 

 

 

とまぁ、四逆散の良さを書いといてなんですが

 

娘ちゃんの場合、肝気鬱結→脾胃気虚という肝脾不和というより

 

元々のベースに軽度の体力低下(気血不足)や消化吸収低下(脾気虚)があり

 

風邪を引きやすかったり、すぐに疲れてしまったり、寒くなったり、傷が治りにくかったりします。

 

そこにストレスが加わるとお腹がキューっと痛くなる。

 

こんな娘ちゃんにはベース処方として鎮痙薬である「桂枝加芍薬湯」を選びました。

 

キューっとした痛みを和らげる鎮痙・鎮痛作用を持った芍薬・甘草をベースに

 

少し温める作用を持った桂皮と生姜を加えて

 

温める芍薬甘草湯となっています。

 

さらに芍薬・甘草・大棗が軽度の気血双補の効果を持ち

 

桂皮・生姜がその吸収を促進するので

 

長期に服用すれば気血双補剤となります。

 

この「桂枝加芍薬湯」に栄養補給の効果をもつ膠飴を加えたのが

 

小児の虚弱体質に使う「小建中湯」

 

さらに娘ちゃんは少しアトピーの気もあるので

 

肉芽形成を促進する「生肌」効果や補気作用・免疫増強作用のある黄耆を加えて「黄耆建中湯」

 

これでどうじゃ!

 

 

 

肝は情緒や機能を円滑にのびやかに保たせる機能(疏泄・昇発)を持っています。

 

西洋医学的にいうと中枢・末梢の自律神経の働きに相当します。

 

それがうまく働かなくなる原因として

 

一つはストレスによって機能の流れが滞る「肝気鬱結」

 

もう一つはパワー不足で機能を動かす力がない「肝気虚」があります。

 

先に述べた「四逆散」は滞った肝の気の流れをよくする薬です。

 

基本処方なので、自覚症状に合わせて生薬を足して処方を変えていきます。

 

それに対して、娘ちゃんに使った「黄耆建中湯」は肝の気を補う薬です。

 

気を補って肝の気が動くように後押ししてあげます。

 

 

 

症状的にはよく似ているけれど、原因が違うので違う薬を使うんですね。

 

「同病異治」って言います。