※ 術後1ヶ月後の7月半ばから8月半ばにかけてのことです。
術後2度目の診察以降、日を追うごとに傷が治っている感があって、
腕も動かしやすくなって、それはそれで嬉しいことだったのですが……、
身体の状態と反比例するかのように、メンタル面が微妙に悪くなっていきました。
胸のいびつさや皮膚の拘縮具合などが気になって気になって……どうしようもなくて。
そして、今までなら全くスルーしていたような、他人の言葉に落ち込む自分がいました。
例えば、 ほんのちょっとしたことが気になって仕方なく、念を押すように問いかけてしまい、
「それ、今言いましたけど」(←相手にしたら、全く普通の対応なんでしょうが)
なんて答えが返ってくると、それだけでどよ~んと落ち込んでしまうのです。
「私ってくどい?」
「私って面倒くさいのかな」
ちょっと上手く言えませんが……、邪険にされているような、拒絶されているような感覚が襲ってきたのです。
自分で自分を疎外していたというか。
他人と話すのが億劫にもなりました。
でも、自分でそれが駄目なこともわかっていました。
「私、ちょっとおかしいんですよ……」
病気のことを打ち明けていた年上の友人に、そう言って相談しました。
その方は、こう言って慰めてくれました。
「被害妄想だと思う。でもね、それはね、やっぱり心が傷ついているのよ」
ほんの少し胸の形が変わっただけのこと。
それで命拾いしたのだと、頭ではしっかり理解して納得しているつもりだったのに、
心はきっと痛いと叫んでいたんです。
表面の傷はもう塞がって細い筋でしかなくても、内部で切って縫い合わせた部分は固くゴリゴリとしていて、まるでまたしこりがあるみたいで、患部じゃないところに、凹みと皺ができて、その表面には今まで見たこともない毛穴が広がっていて、まるで夏みかんの皮みたい。
やっぱり嫌!
やっぱり悲しい!
元気にしなきゃ、ならなきゃと思っていても、本当はそう叫びたかったのです。
とうとう、ある日、お風呂場で叫びました。
嫌だぁ! 切りたくなかったよぉ! なんで私だったんだよぉ!
今頃……だけど、叫んでよかったと思いました。
それからはより丹念に、
「ごめんね。悲しかったよね。頑張ったよね」
そう呟きながら、右胸を優しくマッサージするようにしました。
放射線治療になったら、また虐めることになる胸をほんの少しでも癒やそう……なんて、思ってました。