7月18日午後3時~

ようやく、主治医の太郎(仮)先生による診察日がやってきました。
この日の東京はお天気がかなり不安定で、雹が降ったところもあったぐらいで、晴れ女パワーをもってしても、最寄り駅につくとパラパラ雨が降り始める感じでした。

予約の30分前の午後2時30分から延々待ち続けましたが、午後4時になっても呼ばれません。
だんだんと待合にいる人が減っていって、午後4時20分になり、さすがにこれ以上になったら、受付に確認しに行こうと思っていたら、ようやく呼ばれました。

一ヶ月ぶりぐらいに会う太郎先生は、いつもどおり明るい笑顔で、私を見るなり、

 「なんか、水溜まったんだって」  


あれ、いつの間にか友達みたいな言い方になってる。
私の胸に指を入れた人ですからね。(←詳しくは手術のブログを)

ま、いいけどウインク

「そうなんですよぉ」
と、ちょっと不満げに言いながら、胸を見せました。

 「おお、溜まってるねぇ、後で抜くから」って、超簡単。

「想定範囲内だから、大丈夫」 


そうなのか。え? そうなのか。

 「えっと、それよりも」

と、太郎くん、病理診断結果を話したくてしょうがない感じ。

 

ええ、聞きましょう。聞かせて貰いましょうよ。

 

 「で、取ったの見る?」

 「はい、見る。見ます!」

と、私が身を乗り出すと、PC画面に画像がぽんと出てきました。 

 

以前に脂肪のかたまりだと聞いていましたが、色は白というより、褐色がかったクリームもしくはオレンジというか、夏みかんの皮の色に近い感じ。
縦8センチ、横3センチぐらいの物体で、(円筒形に切ると言っていたから、摘出したものをべたっと広げた感じ)そのほぼ中央に青色で点々と印がついていました。

 

 「この青いところがガン。見てわかるとおり、全部取れてますから」

 

悪い部分は乳管内にとどまっている状態だったので、幅3ミリもないとのこと。
(長さはとしては結局6センチほどあったようですが、乳管は細長い管のようなものを想像すればよいのです)
それからすれば、しこり(これはガンにより細胞が死滅した部分)があったとはいえ、切り取った部分は大きく、余白は十分すぎるほどで、取り過ぎじゃんと思ったほどでした。

 「病理診断としたら、当初通り、非浸潤タイプの乳管ガン。取り切ったので、抗がん剤もホルモン剤もなしと」 

「ああ、よかった~~」

と、思わず大きく声が出ました。と同時に身体の緊張も抜けました。

抗がん剤は元々しなくていいという話でしたが、ホルモン治療は五分五分と言われていたのです。

薬を身体に入れるというのが、元々嫌いなのに、ホルモン薬の投与は5年が標準ということだし、副作用を色々聞いていたので、とにかく、一番回避したかったことだったのです。
あとは再発防止のための放射線治療は受けなくてはいけませんが、とりあえず、一安心だと思いました。

一旦部屋を出て、水を抜くために処置室へ向かいました。
看護師さんがテキパキと用意をしてくれて、先生の診察が終わったら、抜きますからねと言います。
その間にも、太郎くんが二人ほど診察室へ呼ぶ声が聞こえていました。

 

 「太郎先生、忙しそうね」

と、一時間以上待った話を看護師にすると、

「そうなんですよ。先生は特に受け持っている方が多いので」


聞くところによると、お昼を食べる時間もほとんどないみたい。

ほぉ、太郎くんはやはり人気者なのか。医者ってお仕事も大変だろうなぁ。

 

上半身を脱いでバスタオルをかけたまま、処置ベッドに寝て待っているとようやく、太郎くん再登場。

注射器が見えないように長い管の先に針がついたタイプで、水抜き開始。

もちろん、超音波検査で患部を診ながらです。
そういうところ、なんだかとっても丁寧なんですよね。
最初の女医さんなんて、そのまま注射器出して、抜くぞって感じだったもんなぁ。ま、それはそれで思いっきりが良くて、私は好きですけどね。
(結局、この日は25CCほど抜きました)

 

痛みがある箇所とか、気になっていたリンパの痛みなども訴えましたが、それもどれも想定内で大丈夫だと答えてくれました。

前回抜いた水の培養結果でも膿んでいる可能性はゼロだったそうです。

ただ、水を抜いてもらっても、乳輪の下付近にしこりみたいな固い部分が残ったのが気になりました。

 「じゃ、ここは?」

 「あ、そこね、深くまで縫っているから、しこっているのはしょうがないですよ」

 「え? じゃ、ここが患部?」 

「そうだよ」

 「え? じゃ、ここのね(胸の上部脇近く)、えくぼみたいに凹んでるところは?」
「ああ、そこからね、肉を取ったから。ほら、形良くしようと思ったら、どこかから肉をもってこないと駄目でしょ。だから、そこから下へ肉を動かしたというか」

 

 うわっ……そ、そうだったんだ。
 

 「乳房の形として、下の部分の丸みはあったほうがよくて、上はね、ほら持ち上げたらわかんなくなるでしょ。だから、形よくしようとすればするほど、肉を下に全体的に下げた方がよくて……」

 と、その後、太郎くんの美乳理論が続きました。

 

なるほど。つまりは私の胸の皮の下で、肉の大移動が起きていたということでした。

そりゃ、水も溜まるわ。←超納得した。

 

 「ということは、先生が一番きれいと思う胸にしてくれたってことですね」

 真面目な顔でそう言ったのに、看護師さんはくすくす笑い、太郎くんは苦笑いを浮かべました。

 「……じゃ、これで。また来週ね」
「あ、先生」

 処置が済んで去ろうとする太郎くんを慌てて呼び止めました。
もう一つ質問があったからです。

 

 「あのぉ、湯船にはいつから入っていいんですか?」


退院時、看護師から入浴はシャワーのみ。湯船に浸かるのは先生の許しが出てからと言われていたのです。

 

 「えぇ! 入ってなかったの? いいよ、入って」

 

  なにそのビックリ顔びっくり

 まるで私が一ヶ月お風呂に入ってなかったみたいじゃないか!
 いや、お風呂に入ってないとは言ってないから、湯船だからさ……もうぉ、ま、いいけど。

 

 ともかく、湯船に浸かるお許しも出て、この日の太郎くんの診察は無事終了したのでした。

  あと一つ、会計を済ませてから、放射線科の予約を取りに行きました。

  放射線科は地下にあり、なんだかちょっと暗い雰囲気で、ここに1ヶ月ほど通わなきゃいけないと思うと気が重かったです。

  で、最短で予約を取って貰ったのですが、8月14日に放射線科初診ということになりました。
  またここで1ヶ月近く待たなくてはいけないということです。

  8月中には全ての治療が終わっていると思い込んでいたのですが、なかなかどうして、思い通りにはならないのが、大学病院ってことのようでした。

 以上、こんな感じで、術後最初の通院は終わりました。
 ゲンキンなもので、太郎くんに何も心配ないと言われたせいか、気は晴れ晴れとするし、その日から胸の腫れも気にならなくなっていきました。
 おそるべし、太郎くんのプラシボ効果音譜です(笑)
 多少の水は徐々に体内に吸収されていくということでしたし、その日から赤みも徐々引いていき、アイスノンで冷やさなくても平気になっていったのでした。

 あ、そうそう、その日ゆっくり湯船に浸かってリラックスしたのは言うまでもありませんウインク