※ 6月23日の朝のことです。
オペルームに入って、先生方に「よろしくお願いします」と挨拶をし終わって……
促されて、ベッドの前に。
自分で上衣(術着ではなく、自分の寝間着でした)を脱いで、ベッドに横たわりました。
「もう一度、お名前と術式の確認をします」
と、看護師に告げられ、名前を言いました。
「右乳房の一部切除でいいですね」
「はい」
すぐさま、左手の甲に点滴用のルートが確保されました。
「チクッとします。麻酔液入れるので痛いですよ……」
って、手の甲だもん、それだけでも痛いです。
左頭側に麻酔医の若い男性。←山男さんとは違って、柔和な感じ。
口と鼻にも呼気用のカップのようなものがかぶせられました。
「麻酔液入りますから、眠くなっていきますよ……」
カチャカチャと、周りで何か金属の用具を使う音がきこえてきます。
「……晴れ女さん、晴れ女さん」
「あ、はい」
返事をして起き上がろうとしたら、
「はい。今、終わったばかりですからね。動かなくていいですから」
って、言われました。
え?? 終わったの?? もうぉ??
既にベッドからストレッチャーに移っていたようで、そのままリカバリールームへ運ばれました。
この間、 左頭側には、ずーっと麻酔医が付き添ってくれています。
「大丈夫ですか? 気分悪くないですか?」
と、問われたので、まだぼんやりながら、
「はい。大丈夫です」
と、答えました。
「ちょっと喉は痛いですけど」
「喉は管が入っていたから、異和感あると思いますよ」
そうか、呼吸確保の管を入れるって言ってたものな。
ということは……私の歯は?
「あのぉ……歯は大丈夫でしたか」
「はい。大丈夫ですよ」
すぐに答えが返ってきました。
「あのぉ、太郎(仮)先生は?」
「足下側にいらっしゃいますよ」
麻酔の先生の声に応じたように、
「晴れ女さん、大丈夫。ちゃんと終わったからね」
と、太郎先生の晴れ晴れとした声が聞こえました。
「ありがとうございます。……あのぉ、輸血したんですか」
なぜ、いきなりそんなことを訊いたのか、自分でも不思議で、今もってわかりません。
「いや。出血少しだったからね」
「どれくらいですか?」 ←また私訊いてるし。
「25……いや、えーっと」
「28CCでした」
と、看護師さんらしき声がしました。
これだけはっきり質問してくるから大丈夫だと思われたのでしょう、ストレッチャーが動いて、リカバリールームから病室へと戻されることになりました。
先生の顔がちらりと見えたので、「ありがとうございます」と、もう一度、なんとか言えました。
病室に戻ると、母がいたので、手を小さく振ると、目を丸くしてました。
(後で聞くと、麻酔がかかった昏睡状態のまま帰ってくると思っていたのに、目覚めている上、手まで振ったからびっくりしたとのこと)
ストレッチャーからベッドへ移されて、
「これ、ここにおいておきますね」
と、看護師が、私のパジャマ一式が入った袋を置いていきました。
やはり知らぬ間に(ま、麻酔かかってるからなんだけど)、病院側の術後服に着替えさせられていたようです。
左手甲には点滴パックへと繋がるルートがそのままです。
それと、尿管カテーテルがものすごい違和感なんですが、まだ麻酔が効いているのか、胸の痛みを感じることはありません。
どうやら無事に終わった様子に、ほっとして、そのまま再び眠りに落ちました。