社会人となって2年目。

ヤツはこのころ定期的に職場を移動となっていた。

幹部候補生というのは、何でも経験が必要らしく、

本社勤務の前に、現場研修とやらで、工場勤務や

出向所勤務など、勤務地がころころ変わった。



どこでの勤務だろうが、私にはまったく関係なかったけど・・・



お酒がそれほど好きでないヤツは、

仕事が終わると、まっすぐ帰ってくる。

私にとって、それが、どんどんうざく感じるようになった。


社会人としての、付き合いとかってしないの?

上司や先輩と食事や飲みに行ったりして

人間関係の深みを増していかなきゃいけない時期じゃないの?




定時になったらさっさと帰宅して、マンガ読んでゲームして

お笑いのビデオみて過ぎて行くこの人の人生って何?



どんどん、どんどん、ヤツに対する「感情」は、

鈍く濁っていく日々だった。



そして、ある日、私の中で、ひとつ終った。


ヤツが以上に早く帰ってきた。

どこか具合でも悪くて早退したのかと思った。

それほど、早かった。



「どうしたの?」

と、本気で心配した私の問いに対して、ヤツは

「今日、上司が出張でいなかったから、ラッキーと思って帰ってきた」

といった。



この時ほど、ヤツの蹴り飛ばしたくなったことはない。

私の目指す社会人像には、こんなことしでかすようなクズは要らない。

私は、彼の将来に見切りをつけた。


この日、まちがいなく、私の中の何かが、終わった。