神島へ着いたのは夕方だった。
空はどんより曇り、
夜になると雨が降り始めた。
宿の窓から外を眺めながら、
明日はどうなるかなぁと思っていた。
けれど翌朝。
目が覚めると、雨はすっかり上がっていた。
外へ出た瞬間、思わず深呼吸した。🍃
空気が違う。
雨に洗われた島全体が、
まるで大きく息をしているようだった。
木々も。草花も。土も。
みんな生きていた。
昨夜たっぷり水を飲んで、
「よしっ」と背筋を伸ばしているみたいだった。
島の植物たちの色は驚くほど鮮やかで、
緑はどこまでも深く見えた。
道端に咲く花も、
雨粒をまといながら生き生きとしている。
私は歩きながら、
何度も足を止めた。
何か特別なものを探していたはずなのに、
気づけば、
足元の花や木々ばかり見ていた。
神島は、
私に何かを教えようとしているというより、
「まずは感じてごらん」🌱
そう言っているようだった。
島の家々も印象的だった。
青。赤。緑。
屋根や壁の色はみんな違う。
なのに不思議と調和している。
それぞれの色のままで。
人も同じなのかもしれない。
同じ色になることが調和ではなく、
それぞれの色のまま生きること。
それが、
本当の調和なのかもしれないと思った。
宿へ戻り、
八代神社への道を尋ねていると、
ちょうど新聞配達のおじさんが来られた。
すると女将さんが、
「この人たち、八代神社へ行くんやって。
教えたって」
と声をかけてくれた。
おじさんは、
「ほな、ついてきてー」
そう言って、
当たり前みたいに歩き出した。
初めて来た島なのに、
その何気ない優しさが嬉しかった。
道を教えてもらったというより、
島に迎え入れてもらったような気がした。
刻まれた優しい笑い皺。
柔らかな目元。
ほんの短い時間だったのに、
その笑顔がなぜかずっと心に残った。
人はきっと、
親切にされたことよりも、
受け入れてもらえたことを忘れないのだと思う。
こうして私たちは、
島の奥にある八代神社へ向かった。⛩️
つづく




