夕方グーグルで調べものをしていたら、FDAのALS治療薬開発の5ヵ年実行計画書を見つけました。正直感動しました。最近公表されたものです。

 

実行計画書はPDFでダウンロードできるようになっています(リンクしています)。

 

 

この実行計画を発表するFDAによる6月27日付のプレスリリースもみつけました。計画書の内容は後日説明をさせていただきたいと思いますが、こちらのプレスリリースを読めば概要がわかりますので、先ずはそちらを訳してみましたので、下記ご紹介させていただきます。

 

プレスリリースの内容が素晴らしいのと、わかりやすい内容なので、先ずそのまま和訳することに注力しました。当方の見解とコメントは最後に述べさせていただきます。

 

当該プレスリリースリンク:

 

下記は訳になります(青):

 

本日FDAは、ALSを含む神経変性疾患に対する新薬開発の実行計画を発表しました。医療製品と新しい治療法へ患者がアクセス出来ることを促進するためのものです。

 

「稀な神経変性疾患の影響は壊滅的であり、現在ALS患者が利用できる効果的な治療の選択肢はほとんどありません。 私たちは、これらの疾患と診断された人々の生活を改善し、生命を延ばすことが可能になる新しい治療法が緊急に必要であることを認識しています。」とFDA会長の Robert M. Califf, M.D. は述べています。「この課題に立ち向かい、医薬品開発を加速するには、現在の科学的および研究能力を構築しながら、これらの疾患をよりよく理解するための革新的なアプローチが必要です。 この実行計画は特に官民パートナーシップの利用と患者の直接的な関与を含み、新しい治療法開発を促進することにより、苦しんでいる人々の生活の質を向上させるという政府によって定められた国の任務の達成に向けて FDA が取り組むことを保証します。

 

この実行計画は、患者の健康を改善するために、ALS を含む希少な神経変性疾患の医薬品開発における課題に積極的に取り組むために、当局がどのように前進するかについての青写真です。具体的な行動には、規制科学の取り組み、既存のプログラムの強化、および新しい政策施策が含まれます。この計画は、バイデン大統領が 2021 年 12 月 23 日に法律に署名した ALS 法 (ACT for ALS) の重要な治療法へのアクセスの加速化の規定に従って作成されました。

 

この実行計画はこの先5 年間で、次のような的を絞った活動に従事することにより、科学の進歩を強化し、希少な神経変性疾患の革新を促進することに焦点を当てます。

 

2022年:

  •  FDA 希少神経変性疾患対策本部の設立。
  •  希少神経変性疾患に対する官民連携の確立。

2022年~2026年:

  • 疾患に特化した科学戦略の開発。
  • 進行中の FDA 規制科学の取り組みの活用。

ALS 科学戦略は、特に ALS に焦点を当てた計画の要素です。これは、主要な規制科学の優先順位を評価するための FDA 活動に前向きなフレームワークを提供します。 ALS 科学戦略の重点分野は主に次のとおりです:

  • 疾患の病因と自然史の特徴付けを改善する — 疾患の進行、予測および予後バイオマーカーの定量化、および基礎科学発見の効率的な実装が必要です。
  • 多様な集団が直面する障壁や負担を軽減することで、可能な限り患者が新薬を利用できるようにし、臨床試験への参加を促進します。デジタルヘルス技術と分散型試験デザインの活用。拡大アクセス(通常は臨床試験外)のメカニズムを開発プログラムに適切に統合することを保証します。
  • 臨床試験の基盤とスピードを強化して、さらなる開発のために有望な治療薬候補を早期に選択できるようにし、臨床試験デザインを最適化し、試験へのアクセスを改善し、臨床試験業務を合理化し、医薬品開発の時間とコストを削減します。

FDA による ALS 科学戦略の実施の成功の鍵は、患者の参加、公開ワークショップ、研究プロジェクト、FDA のセンターやオフィス全体での調整、国立衛生研究所 (NIH) が全て協力しあうことです。

 

また、ALS 法は、保健社会福祉省 (HHS) に対し、NIH、FDA、および 1 つ以上の外部機関との間で、神経変性疾患の理解を深めるための協力協定、契約、またはその他の適切なメカニズムを通じて、神経変性疾患に関する官民パートナーシップを実施することを必要とします。 ALS やその他の神経変性疾患の治療法の開発を促進します。また、ALSやその他の神経変性疾患の予防、診断、緩和、処置や治療を目的とした介入の研究開発の費用を賄うために、公共および民間の団体が助成金と契約を授与できるように政府機関に指示する役割を担います。

 

和訳は以上です。

 

以下、当方のコメントです:

 

結論ですが、このFDAによる実行計画は素晴らしい内容です。目的がしっかりしており、その為の枠組みが決められています。

 

米FDAと日本の厚労省の大きな違いについて私の見解は、次の通りです:

 

①    FDAは神経変性疾患とその他の難病の区別がついており、神経変性疾患(特にALS治療薬開発に特化した実行計画があります。対して日本の厚労省は難病をすべて一緒くたに扱っており、ALSに対して特別に見ていません。これは大きな違いであり問題です。

 

②    FDAはALSの治療薬を早急に開発し、今の患者やその家族を救おうとしています。対して厚労省は、難病は不治の病とし、それが故、具体的な治療薬開発の取り組みがなく、治そうとする意思が見えません。

 

③ FDAは科学的にALS、そしてその他の神経変性疾患を治そうとする情報のアウトプットが殆どですが、対して厚労省は難病疾患者への社会支援(就労や、配慮、人権)といった情報が多い。これも意識の問題。

 

④情報量、透明性、に圧倒的な違いがあります。

 

厚労省の難病対策課はこの米の動きを把握しているのだろうか?日本ALS協会は把握しているのだろうか(おそらく把握していないと感じます)。

 

我々は今のアメリカの動きを理想として終わらせてはいけないと思います。日本政府はこれをお手本として見習わなければいけません(真似るだけでいいのです)。その為には大学病院の研究者や製薬会社、日本ALS協会といった団体が政府に働きかけなければいけません。ただそういった動きはみえません。日本人はそもそもお上に弱いのかもしれません。また多くの研究機関は、政府から助成金を得ています。そういったことが背景にあるかもしれません。必死さも足りません。

 

明日にでも日本ALS協会に連絡を入れます。7月26日に厚労省とオンラインミーティングをしたはずですが、その後一切報告がないのも残念です。私から見ると彼らの仕事(活動)には必死さが足りません。

 

 

以上です、

 

 

その他目を通したリンク:

 

 

 

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