何故ALSになったか見当がつかない我々は、何故ALSを抱えることになったのか、原因について思い巡らすとおもいます。私もいろいろ考えました。いまも考えます。

 

周囲より活動的で、外交的。人一倍、二倍、三倍、エネルギッシュ、すべてを限りなく楽しんで、挑戦していたわたしも一体なぜこうなったのか全くわかりません。今さら謙遜してもしょうがないので、そのまま続けると、僕は情熱的(人に強くもあり優しい)、360度活動的(仕事もそれ以外も)、気遣っていることを悟られないように自然に振る舞う程、気遣い(振り返ると)、困った人をみると放っておけない「性格」性分?でした(多分いまも)。いい加減なこと、理不尽ことも許容できなかった性格です。じっとしていることはなく、常に何か活動をしていました。「性格、性分」がそうさせていたのだろうと考えます。そう考えると、自分の「性格」が原因の根底にあるのかもしれない、とも考えることがあります。客観的に自分の人物像を見れるのも50を過ぎたから言えることでもあります。超活動的な私を知る人はわたしが病気にかかったことを知ればひっくり返ると思います。

 

この病気を心配するようになってからネットでALSになった人の人物像をうかがうと、比較的良い人、活動的で頑張っていた人、情熱的な人が多そうで、国際的なバックグラウンドを持つ人も少なくないこと等、が散見されました。日本語でも英語のサイトでも一般人のALS患者のストーリーが、ご自身や周りの方によるものも含め、多く紹介されており。やはり活動的で情熱的、良い人が多そうだ。ということが、なんとなくわかります。ブログでみるALS患者仲間にも、当てはまる感じがします。みんな一生懸命頑張っている様子がわかります。ALSになった著名人に目を向けても、その様です。ウィキペディアのALSになった著名人リストにも目を通しました。日本人も含まれています(議員の船後さんや、フォローさせていただいている声優の津久井教生さんも含まれています):

 

 

一方で、英語のサイトをみると、ALSを Nice Guys Disease =「良い人がなる病気」と表現されていることにも目につきます。

 

ということで、今日は、「性格」と「ALS発症」に相関関係があるのか?そういった研究結果はあるのか調べるに至りました。結果、こちらの論文をみつけました。

 

 

内容は「ALSの人は良い性格の持ち主が多い」とされるが、これまでの患者の性格研究は参加者の数が限らており、性格が性別による違いかどうかも検証されておらず、改めてビッグファイブデータ手法を使い調査する。、という内容のものです。

 

調べたところ、ビッグファイブ理論(もしくはビッグ5パーソナリティ)とは、心理学のフレームワークで、人の性格は5つの要素の組み合わせからなるとした理論で、近代心理学では主要な理論となっているようです。その5つの指標は、①寛容か、②誠実か、③外向的か、④協調性があるか、⑤神経質か、となります。要はこの理論と照合し、統計学手法を用いて仮説「ALS患者は良い性格の人」なのか、を検証するスタディです。2018年に行われています。

 

細かいことは飛ばしますが、調査の留意点として、男女性別の違いからくる性格の違いを排除するよう調査していること、また、疾患発症後の経過時間が発症前の人格スコアに影響を与えていないことが考慮されています。調査対象の中には9%の遺伝性の患者の方を含んでいるようです。

 

調査結果ですが、

In conclusion, people with ALS appear more likely than controls to have personality traits that can be considered to represent “niceness.” Possibilities that need to be considered are whether personality differences in ALS influence lifestyle choices (and therefore disease risk factors) and whether genetic variants influencing personality could be associated with ALS itself. To take into account the influence of personality on lifestyle choices, we recommend that personality testing be included in future investigations of risk factors for ALS.

 

訳すると:

ALSの人は、「良い性格の持ち主」と見なすことができる特性を持っている可能性が高い。 考慮する必要があるポイントは、ALSとなった人の性格が、疾患の危険因子、性格に影響を与える遺伝的変異がALS自体に関連する可能性があるかどうか等も含め、その人のライフスタイルの選択に影響を与えているかどうかはさらに検証が必要としています(論文なのでこういった留意点を明記するのは一般的です)。

 

その他、引用の和訳ですが: ALSになった人は、そうでない人に比べ、より高い協調性、誠実性、外交性、またあまり神経質ではなかった(これは神経質ではないため、活動的という解釈です)可能性が高いという事実は、病気の病因に影響を与えている可能性があります。 「性格」には遺伝的要素があり(Vukasovic&Bratko、2015)、性格を引き起こす同じ遺伝的要因が人々にALSを発症しやすくする可能性があることが示唆されています(Grossman et al。、2006)。 ALSの原因の一つでであると考えられるライフスタイル、生活習慣、自体が原因ではなく、根本的に遺伝的に決定された性格の結果である可能性があることを考えなければいけないとしています。

 

最後に、

アメリカの各種代表的なサイトに今一度、ライフスタイルや性格の違いがALSの原因の一つとして断定しているサイトがあるか確認してみましたが、そういったサイトは見当たりませんでした、ですが、その可能性について言及しているサイトはいくつか存在しました。「ALS発症リスクを潜在的に低下させる可能性のある特定のライフスタイル関連の変化の証拠はありません」としながらも、将来的に調査する必要性があると言及しています。

 

因みに、日本のウェブサイトはALSの発症原因について、長い間内容が更新されていないサイトが少なくないことに気が付かされます。多くは未だに「神経の老化」説がありますが、アメリカやヨーロッパの説明には、そのような説明はありません。アメリカの代表的なサイトのALS 発症原因の説明についてはまたいつかテーマとして取り上げたいと考えます。

 

今回共有させていただいた「性格」と「ALS」をテーマにした研究結果ですが、調査結果にある通り、わたしもなんらかの関係があると思っています(ゼロではない)。調査結果ではALS患者は「良い性格の人」、外交的、誠実、協調性のある「性格」であった人が多いとされています。私の理解は、「良い性格の人」=良い性格が故に、情熱的で精力的に活動し過ぎた人生、ライフスタイルを送っていた人が、発症してしまうという様だ、と考えます。ですが多分、これはALSに限ったことだけではなく、ガンやその他の深刻な病気を発症するケースにも当てはまるとも考えます。言い換えると、のほほんと自分勝手にお気楽に生きていれば長生きするのだろう、ということかもしれません。自分のこれまでの生き方、ライフスタイル、身を置く環境は、自分の性格、人格、学び、出会い、によって築いてきた人生ですから後悔はありませんが、唯一の反省点は、もっと休息の時間を大事にすべきだった、ということにあるかもしれません。

 

こちらの論文はオーストラリア、シドニー大学によるもので、テーマとしては面白いですが、この手の研究を深堀するよりも、早く根本治療薬を開発して欲しいです。日本も含め、助成金やアカデミックなフィールドでのポピュラリティを狙った論文を出すための論文が多い気がします。そうではないと願いたいですが、中には研究を続けることが仕事になっている研究者もいるかもしれないと危惧してしまいます。

 

 

以上です。

 

 

 

その他目を通したサイト:

 

 

 

 

 

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