バイク遍歴(3) TLR200 後編。
5月の後半、
梅雨入り前の洗礼ともいえる
豪雨が行く手を歓迎してくれた。
構うことはない!
こちらは山岳遭難の救助活動にも配備されている
道なき道を走破するために
設計されたマシンなのだ!
初陣にこれほどお似合いの
シチュエーションがあろうか?
骨折した腰椎右側の筋肉に細心の注意を注ぎながら
右足の土踏まずを蹴り落とす。
新しい相棒はみごとに眼を覚ました。
大学にアクセスする道のりは
おおまかに3ルート。
北上して国道を大廻り。
これは通勤時に最も渋滞しやすい。
峠越え。
最短だが、崖崩れが頻発するため
全面通行停めの可能性大!
残るは自動車専用道を抜けて
広い新道を一直線。
距離は長いが渋滞した場合も
二輪の利便性を有効に活用すれば
余裕綽々である。
いざ、行かん。
自動車専用道にはいった。
この車体でワイドオープンするのも
もちろん初めてだが、
ギプスの上から雨具を着込んで
走行するのも初めてである。
6速ミッションの最下層は
歩く程の徐行と瞬発的パワーを引き出すための物で
通常の二輪にはない
スーパーローレンジである。
自転車のサドルなみのシートに座って
ふと気がついた、
震動が直接ヘルメットを揺する。
交通の流れに沿って
車速はほぼ上限に達し、エンジンの回転域も
レッドゾーンと呼ばれる限界近くまで放たれる。
トライアルという種目にあわせたギア設定の所以である。
震動が座骨からギプスを経由して
直接、頭蓋を揺さぶっている?
そう。健常な状態なら
約30対の脊椎と軟骨が震動を吸収分散するものなのだ。
ところが、脇下までギプスで固められた状態では
せいぜい7対の頸椎のみが全ての震動を
負っているに過ぎない。
脳が毎分6000回近くの振動に苛まれている。
ヘルメットのシールドバイザーを固定する
金属製のスナップが鈴虫のような音色で
3重奏を奏でている。
おかしくなりそうだ。
やっとのことで専用道を抜け、大学へと続く
幹線道に出た、
ゆるゆるとした上り坂の渋滞路を
腰を浮かせ両足でステップ上に立ち上がった姿勢のまま
すり抜けると、
眼前に雨天装備に誘導灯を手にした
県警の交通課職員の姿があった。
その先では道路公団の作業が見て取れた。
路肩の崖がくずれて4車線のうちの一つを
塞いでいる。
大型車両は通行止め、迂回するかのろのろと渋滞に飲み込まれるか、
多分、どのみち状況は似たり寄ったりである。
この場合、2輪の利便性が最大限発揮されるに違いない。
案の定、大半の車両が迂回する中
区間に用のあるフリを装って侵入した数台が
崩れた土砂と倒壊した木片を巧みに
縫うように入って行くのが見えた。
2輪車の視点の高さが幸いである。
まともに、渋滞の列に飲み込まれれば
30分は出れそうにない。
スタンディングフォームのまま
幹線道の半ば近くまで進むことができた。
さて、先ほど迂回路に入り
ようやく合流したであろう様子の
一団が道の左側で信号待機している
こころなしかドライバーの表情もうんざりといった風である。
彼らはどのくらいの時間を迂回路で費やしたであろう
距離だけでも、こちらの倍近くを走ってきたはずである。
今日は職場にたどり着くだけでも
相当な重労働である。
合流の先はどのクルマも同じ条件である。
いつもより少し時間をかけてどうにか
わが大学の構内にたどりついた。
始業までには充分の余裕が残されている。
さすがに構内にたどり着いた者は少ないな
いつもの同時刻より人影はまばらである。
ヒト気のない学校の景色は爽快なものである。
小、中、高のいずれも
朝早く開門時に一番乗りは日課であった。
ましてや、今日は自分にとって
長いゴールデンウイークが明けたともいえる
事故以来の登校、初日である。
軽い優越感にひたりながら時間を過ごしていると
同じ学科や部の先輩など
顔見知りもちらほらと現れはじめた。
天候や道路状況などの話をしつつ、
始業時間を待っていると臨時放送による告知があった。
交通網のみだれによる全面休講の...。

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梅雨入り前の洗礼ともいえる
豪雨が行く手を歓迎してくれた。
構うことはない!
こちらは山岳遭難の救助活動にも配備されている
道なき道を走破するために
設計されたマシンなのだ!
初陣にこれほどお似合いの
シチュエーションがあろうか?
骨折した腰椎右側の筋肉に細心の注意を注ぎながら
右足の土踏まずを蹴り落とす。
新しい相棒はみごとに眼を覚ました。
大学にアクセスする道のりは
おおまかに3ルート。
北上して国道を大廻り。
これは通勤時に最も渋滞しやすい。
峠越え。
最短だが、崖崩れが頻発するため
全面通行停めの可能性大!
残るは自動車専用道を抜けて
広い新道を一直線。
距離は長いが渋滞した場合も
二輪の利便性を有効に活用すれば
余裕綽々である。
いざ、行かん。
自動車専用道にはいった。
この車体でワイドオープンするのも
もちろん初めてだが、
ギプスの上から雨具を着込んで
走行するのも初めてである。
6速ミッションの最下層は
歩く程の徐行と瞬発的パワーを引き出すための物で
通常の二輪にはない
スーパーローレンジである。
自転車のサドルなみのシートに座って
ふと気がついた、
震動が直接ヘルメットを揺する。
交通の流れに沿って
車速はほぼ上限に達し、エンジンの回転域も
レッドゾーンと呼ばれる限界近くまで放たれる。
トライアルという種目にあわせたギア設定の所以である。
震動が座骨からギプスを経由して
直接、頭蓋を揺さぶっている?
そう。健常な状態なら
約30対の脊椎と軟骨が震動を吸収分散するものなのだ。
ところが、脇下までギプスで固められた状態では
せいぜい7対の頸椎のみが全ての震動を
負っているに過ぎない。
脳が毎分6000回近くの振動に苛まれている。
ヘルメットのシールドバイザーを固定する
金属製のスナップが鈴虫のような音色で
3重奏を奏でている。
おかしくなりそうだ。
やっとのことで専用道を抜け、大学へと続く
幹線道に出た、
ゆるゆるとした上り坂の渋滞路を
腰を浮かせ両足でステップ上に立ち上がった姿勢のまま
すり抜けると、
眼前に雨天装備に誘導灯を手にした
県警の交通課職員の姿があった。
その先では道路公団の作業が見て取れた。
路肩の崖がくずれて4車線のうちの一つを
塞いでいる。
大型車両は通行止め、迂回するかのろのろと渋滞に飲み込まれるか、
多分、どのみち状況は似たり寄ったりである。
この場合、2輪の利便性が最大限発揮されるに違いない。
案の定、大半の車両が迂回する中
区間に用のあるフリを装って侵入した数台が
崩れた土砂と倒壊した木片を巧みに
縫うように入って行くのが見えた。
2輪車の視点の高さが幸いである。
まともに、渋滞の列に飲み込まれれば
30分は出れそうにない。
スタンディングフォームのまま
幹線道の半ば近くまで進むことができた。
さて、先ほど迂回路に入り
ようやく合流したであろう様子の
一団が道の左側で信号待機している
こころなしかドライバーの表情もうんざりといった風である。
彼らはどのくらいの時間を迂回路で費やしたであろう
距離だけでも、こちらの倍近くを走ってきたはずである。
今日は職場にたどり着くだけでも
相当な重労働である。
合流の先はどのクルマも同じ条件である。
いつもより少し時間をかけてどうにか
わが大学の構内にたどりついた。
始業までには充分の余裕が残されている。
さすがに構内にたどり着いた者は少ないな
いつもの同時刻より人影はまばらである。
ヒト気のない学校の景色は爽快なものである。
小、中、高のいずれも
朝早く開門時に一番乗りは日課であった。
ましてや、今日は自分にとって
長いゴールデンウイークが明けたともいえる
事故以来の登校、初日である。
軽い優越感にひたりながら時間を過ごしていると
同じ学科や部の先輩など
顔見知りもちらほらと現れはじめた。
天候や道路状況などの話をしつつ、
始業時間を待っていると臨時放送による告知があった。
交通網のみだれによる全面休講の...。

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