ハルのブログ

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1932年

ウェスト・ヴァージニアの田舎町アロヨで発生した殺人事件は、不気味なTに満ちていた。死体発見現場はT字路。T字形の道標にはりつけにされた、首なし死体の外貌もT。アロヨへ趣いたエラリーだったが、真相は不明のまま。そして半年後、類似の奇怪な殺人事件を知らせる恩師からの電報がエラリーのもとへ届いた…。スリリングな犯人追跡劇も名高き、本格ミステリの金字塔。

作者と同名の探偵、エラリイクイーンが活躍する国名シリーズの5作目。なのに舞台はアメリカで特にエジプトは絡んできません(笑)数ある国名シリーズの中でも傑作と名高い本作ですが予想以上に面白かった。のっけから磔の首無し死体にTで溢れた殺人現場とインパクトは充分。そして凶行は一度では済むことなく何度も行われその度悩まされました。終始犯人の残した謎に苦しめられるエラリイがほんの些細な事実から一気に事件の全貌が明らかになるさまは痛快。言われれば誰でもわかる事実だというのが悔しさをより一層増幅させる。道端に石が落ちていることくらい些細で素通りしてしまいましたが読み返すと公正明大に描写されていました。悔しい。個人的には古さは全く感じなかった。

推理にもちろんのこと終盤の追いかけっこも読みどころです。犯人を教授が、教授をエラリイが、エラリイを警察が時間差で追跡するシーンはそれまでのモヤモヤを吹き飛ばすかのようにスピード感があって爽快。

1932年は本書に加えて国名シリーズの4作目「ギリシャ棺の謎」「Xの悲劇」「Yの悲劇」と代表作と呼ぶべき作品を4作発表していてこれまた驚き。