星空 こんばんはぁ、門倉と申します。



また谷崎潤一郎の名作をひとつ読んでしまいました。



けふ、読んだのは晩年の『夢の浮橋』という幻想的な小説です。タイトルが『源氏物語』五四の最終巻と同名になっていることからも分かるとおり、光源氏が父帝の后である藤壺と密通する話ラブラブの「現代版」のような感じです。




内容は(以下ネタバレ注意)・・・・、



主人公の糺(ただす)の母親は美人で有名でしたが、彼が幼いときに病気で亡くなってしまいます。



その後、父親は糺(ただす)が9歳のときに再婚しますが、継母は糺(ただす)の生みの母と外見も中身もそっくりでした。




名前も2人とも「茅渟(ちぬ)」と言います(継母の戸籍上の名前は経子ですが、再婚してからは茅渟と名乗っていました)。



糺(ただす)は、心の中でだんだん2人の母親を混同していくようになります。そして、継母への思慕、愛情を強めていくのですラブラブラブラブ!




大人になった糺(ただす)が、継母のお乳を吸うシーンが門倉的には衝撃的でした。オトナなのに・・・ガーンガーンガーン




糺(ただす)がちょうど二十歳になったとき、継母は身ごもり、男の子を出産します。「武」と名づけられました。



しかし、武はなぜか生まれて間もなく、遠方の山里に預けられてしまいます。糺(ただす)は「きっと両親が自分に気兼ねして武を遠ざけたのだしょぼん」と思います・・・実は違う理由なのですが・・・・




やがて、父親は糺(ただす)に「継母を頼む」と言い残し、腎臓結核で亡くなりますしょぼん


糺(ただす)は父の遺言にしたがって、夫婦で継母に仕えるべく、形式上の嫁「澤子」をめとります。「澤子」は愛ではなく財産目当てで糺(ただす)と結婚したと思われますむっ



糺(ただす)は継母と澤子の3人で暮らすようになりますが、しばらくして、継母が百足(ムカデ)に刺されて死んでしまいますしょぼん


はっきりとは断定されていませんが、どうやら殺人事件のやうですガーン。犯人はもちろん。。。



糺(ただす)は澤子と離縁し、最後に異母弟の武をひきとって一緒に暮らしました。おわり。



わんわんストーリーは糺(ただす)の視点で淡々と進んでいくのですが、なんとなく全体的にモヤーっと霧がかかったような感じになっていて、大事なところがはぐらかされて、読者がいろいろと想像できる、ていうか想像しなくてはならないような仕掛けになっています。すごく不思議な感じの小説ですわ



わんわん最後まで核心には触れられていませんが、おそらく武は、父親と継母の子供ではなく、糺(ただす)と継母の子供なのだと考えられます。そのような前提に立って読み直すと、武が生まれてすぐに山里に預けられたこと、継母が妊娠したときすでに父親は重病になっていて子供をつくれるような状態ではなかったことなど、すべて辻褄が合ってくるからです。タイトルが『夢の浮橋』であることもそれで納得できます。



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BRICs経済研究所 代表 門倉貴史