meは、久しぶりに永井荷風の『濹東綺譚(ぼくとうきだん)』を読みました
。
話の筋書きは単純で、主人公である小説家の大江匡が『失踪』という小説を書くために玉の井を訪れ、そこで「お雪」という名前の女性(娼婦)と知り合います。小説家は「お雪」の元に通うようになるのですが、夏が終わって秋風が吹くころには2人は別れることになってしまいます
。主人公の大江匡には永井荷風本人の姿が投影されていると思われます。
この小説の中で、かつて私娼街のあった「玉の井(現在の東京都墨田区東向島)」のことが詳しく描かれていて、meは話の筋書きよりも玉の井という場所が醸し出す独特の雰囲気に興味をひかれました。
当時は迷宮のように細く入り組んだ路地になっていたそうで、歩いている人が迷子にならないよう「ぬけられます」と書かれた灯がついていたそうな・・・
そして玉の井には「銘酒屋」と呼ばれる置屋が500軒程度並んでいて、そこでは1000人以上もの娼婦が働いていたそうな・・・
玉の井の私娼街の独特な雰囲気は、滝田ゆうさんの漫画『寺島町奇譚』を読むと、より一層リアルにイメージできますよ。
こちらは、スタンドバー「DON」を経営する父母、姉、祖母と暮らすキヨシ少年の日常生活が描かれています。
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BRICs経済研究所 代表 門倉貴史