ヒヨコ『サテュリコン(Satyricon)は、西暦65年頃、ローマ皇帝ネロの時代にペトロニウス・アルビテルによって書かれたといわれる風刺小説です。



ペトロニウスはネロ帝の助言者ですが、遊び仲間でもあったそうで、もっぱら昼は寝て夜に仕事と享楽を楽しむ生活をしていました。


残念ながら『サテュリコン』の大半(8割ぐらい)はすでに失われてしまっていて、現存するのは、全体のごく一部に限られています。

meが読んだのは、岩波文庫から出ている国原吉之助氏の翻訳によるものです。



内容は、美貌の美少年と放浪する2人の青年が中心になって、男女が入り乱れて好色や美食に明け暮れるという背徳的・退廃的な物語です



とにかくインモラルなんですよラブラブ


『サテュリコン』はその文学性も評価されていますが、古代ローマの生活習慣を知るうえでも重要な資料となっています。


現存する『サテュリコン』の中で、とくに有名なのが「トリマルキオの饗宴」の部分です。先ほどお話したとおり、『サテュリコン』は欠落だらけなのですが、唯一「トリマルキオの饗宴」の箇所だけは、どういうわけかほぼ完全な状態で残っているのです。「トリマルキオの饗宴」の部分だけを独立した作品として読むこともできます。


「トリマルキオの饗宴」では、トリマルキオという名前の富豪(解放奴隷)が自宅で催した超豪華な饗宴の一部始終が詳細に語られています。饗宴の時間は、午後3時頃から翌日早朝まで続きます。饗宴の参加者は10人ぐらいです。


「トリマルキオの饗宴」のメインディッシュは、黄道十二宮の星座を象徴する図柄を描いた皿のうえに、それぞれの星座にふさわしい料理が乗って出てくるというものです。たとえば、牡牛座の場合は牛肉の塊、獅子座の場合にはアフリカ産のイチジク、双子座の場合には、睾丸2つと肝臓2つといった具合です。

続いて、メインディッシュ・パートⅡとして、今度は解放奴隷の帽子をかぶったイノシシが大きな盆に乗って登場します。

さらに、今度は豚さんぶーぶー1頭がまるまる運ばれてきます。豚の料理を引き裂くと、切れ目からいろいろな腸詰(ソーセージ)が転がり出すのです。


まだ終わりません・・。最後に茹でた子牛が出されます。メインディッシュで客人たちのお腹いっぱいになった頃、口直しに鶏や卵が出てきます(これは、もはや口直しではないと思いますショック!)。

もし「トリマルキオの饗宴」の話に誇張がないのなら、現代人の感覚では考えられないほど贅沢な饗宴です。アンビリーバブルです。





BRICs経済研究所 代表 門倉貴史





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ていうか、絶対にこんなにたくさんは食べれません・・・あせる