あらすじはこんな感じです(ネタばれ注意)。
主人公はエミリー・グリアソンという南部の女性。南部の栄光を象徴するような良家のお嬢様で、エミリーが結婚適齢期になっても、父親の御めがねに適う男性は1人も現れませんでした。
父を亡くして1人暮らしをしていたエミリーは、北部からやってきたホーマー・バロンという男性を好きになります。
しかし、バロンはエミリーと結婚する気などさらさらありません。あるときから、バロンの姿が見えなくなります。まわりの人たちは、きっとバロンはエミリーを残して出て行ってしまったのだろうと思っていました。
エミリーはその後、すっかり家に引きこもるようになり、孤独のうちに死んでいきました。
エミリーを埋葬してから、好奇心旺盛な街の人たちはこれまで見ることのできなかったエミリーの家に入り、固く閉ざされた秘密の部屋をこじ開けました・・・。
部屋の中には・・・ミイラ化したバロンの死体が・・・・。
エミリーはバロンに裏切られ、復讐のためにバロンを毒殺していたのでした。エミリーは死ぬまでの40年間、バロンのミイラと暮らしていたのです・・・おわり
退廃的で怖い小説なのですが、どこか耽美的でもあります・・・。
ちなみに、この小説にはタイトルにあるバラが一切登場することはありません。フォークナーによると、エミリーがあまりにも可愛そうなので、作者からエミリーへのささげものという意味があるそうです。
一般に、フォークナーの小説は難解なことで知られていますが、『エミリーにバラを』は、門倉的には分かりやすい内容でしたよ。
ぶり研 代表 門倉貴史
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