星 絵画芸術をテーマにしたオノレ・ド・バルザックの短編小説です。


 あらすじは次のとおりです(ネタバレ注意)。


老画家のフレンホーフェルは画家として最高のテクニックを持っていますが、自らの最高傑作となるはずの『美しき諍い女』虹に手こずって、10年かかっても絵を完成させることができません。


若い画家のニコラ・プーサンは、フレンホーフェルの傑作がどうしても見たくて、自分の美しくて気立てのいい恋人(ジレットキスマークをモデルとしてフレンホーフェルに提供する代わりに『美しき諍い女』を見せてもらう約束をとりつけます。


フレンホーフェルは、美人のモデルを得て俄然やる気が湧くようになりラブラブ!、「ちょっぱや」で『美しき諍い女』を仕上げてしまいます。


「はぁぃ、できちゃいましたっ!べーっだ!




そして、プーサンたちは約束にしたがって完成した『美しき諍い女』を見せてもらいます目


「ちょっ、まっ、なんぢゃこりゃあっ!」ダウンむかっ


プーサンたちが見せてもらった絵は、雑多な色彩が塗りたくられただけで、形もわからないし、混沌とした霧のような感じで、下にうっとりとするような足の先だけが見えるというものでした。これは、現代でいうところの抽象画です。

プーサンたちの反応のあまりの悪さにフレンホーフェルは絶望のどん底に突き落とされます叫び叫び叫び

「俺は頑張ったのに・・・もう、生きている意味はない」

フレンホーフェルは、自分がこれまで描いてきたすべての絵画作品を焼き捨てて、自らの命を絶ってしまいましたドクロ



フレンホーフェルが描いた絵は、抽象絵画の評価が確立した現代の美の基準でみれば、やはり傑作だったのではないかと思います。「抽象と具象のコントラストが見事な一品」などと評価されたのではないでせうか。

ただ、フレンホーフェルが生きていた時代は写実主義が全盛期の頃なので、描いた人物が人物に見えなければどうしても失敗作という評価になってしまうのです。絵画芸術とは何かということを深く考えさせられる作品でした



BRICs経済研究所 代表 門倉貴史




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