天使 太宰治の『走れメロス』は超有名なので、皆様ストーリーをご存知かと思いますが、あらすじは次のようなものです。



 悪を許さないメロスは、血も涙もない暴君ディオニスを殺そうとしますが、逆に捕まっちゃいますぅショック!ショック!ショック!


 でも可愛い妹の結婚式にはどうしても出席したいので、「おれっちを処刑してもいいけど、3日の猶予をくださいな」とディオニス王にお願いします。

 もちろん、そんなことを言っても猜疑心の強い王には信じてもらえないので、「もし約束の期日までにおれっちが戻ることがなければ、身代わりに親友であるセリヌンティウスを処刑してくださいまし」という話になります。

 

 メロスは信義と友情のために、必死で走り続けます。メロスは間に合うかどうかギリギリのところで追い詰められます。


 

この本を読むと、時間を守ることの大切さを改めて実感します。日本では、列車が時間どおりに駅に到着するのは当然で、数分のダイヤの乱れさえ問題視されます。しかし、実は世界的にみて日本ほど列車の運行時刻が正確な国はないといわれています。日本人はパンクチュアルな民族として有名なのです。友達や恋人との待ち合わせでも、約束の時間を守ります。インドなどでは約束の時間に1時間ぐらい遅れてもどうってことはないようですが、日本では何の連絡もせずに30分も遅れたら相手が怒って帰ってしまうでせう。


 

 いつも平気で約束の時間に遅れる人は、待たせている人のことが頭に思い浮かばないのかもしれません。


ですから、そういう人には是非『走れメロス』を読んでもらいましょう。


メロスの親友セリヌンティウスは、メロスが戻ってくるのを待つ間、「もしかしてメロス、喫茶店とかで、だべってて、こないんとちゃう?ガーン」と一度だけ疑ってしまうのですが、この小説を読んで、セリヌンティウスの立場や気持ちになってみれば、約束の時間に遅れることは絶対にできないと思うようになるでしょう。


 

 でも、約束を守ることの大切さを説く「走れメロス」の作者、太宰治は友達に結構ひどいことをしています。



太宰治は友人の作家檀一雄と熱海に旅行したのですが、旅先でお金を使い果たしてしまいました。そこで、太宰治は「金策をしてくるから、ちょっと待っててくれ」といって、檀一雄を旅館に残したまま東京に戻ります。しかし、いつまでたっても太宰治が戻ってこないので、待ちきれなくなった檀一雄も東京に戻ります。戻って太宰を訪ねてみると、縁側でのんきに将棋をさしていたので、「なんなんだよっ!」とめっちゃ怒ります。


 すると太宰治は、「待つ身がつらいか、はたまた待たせる身がつらいか」とのたまったそうですべーっだ!




ブリ研 代表 門倉貴史