ひらめき電球 米国では、サブプライムローン(低所得層向けの住宅融資)の焦げ付き問題が表面化したことで、証券化商品のリスクが強く意識されるようになりました。


それにもかかわらず、いまだに人気を集めている証券化商品があります。それが「死亡債(Death bonds)」ですドクロ



名前からして不気味ですが、死亡債は次のような仕組みになっています。


まず、金融機関がまだ生きている人たちから生命保険を買い取ります。買い取った生命保険を、今度は数千人ぐらいを単位にした証券化商品に仕立てて、ファンドとして投資家に販売するという流れです。


「死亡債」のメリットとしては、2つの点が指摘されています。



まず、生命保険の加入者は、本来、自分が死んだときに支払われる保険金を、生きている間に受け取れることになります(金融機関は生命保険を解約したときに受け取る金額よりも高額で保険を買い取ってくれます)。保険加入者の中には生活に困っている人が多数含まれるため、保険を買い取ることが経済支援につながるということです。


一方、「死亡債」を購入する投資家の立場からみれば、人の生死は景気に左右されるものではなく、誰でもいつかは確実に死んじゃうので、それだけ安定した収益が期待できるというメリットがあります

 

 

米国では、「死亡債」の売買市場が急拡大しており、05年の100億ドルから、07年には300億ドルにまで膨らんだということです。


しかし、たとえ金融商品として成り立つとしても、人の死までを投資の対象にしてしまうというのは、モラルの面から考えて、ちょっと行き過ぎではないでしょうか。


(注)日本にはこのような怖い投資商品はございませぬ。




BRICs経済研究所 代表 門倉貴史