チューリップ黄 こんばんは、門倉と申します。


 me の好きな本のひとつにシュリーマンの自伝『古代への情熱』があります。チョー有名な本なので、みなさんも一度は読んだことがあるかと思います。



『古代への情熱』では、シュリーマンが子供の頃に読んだホメロスのトロイ戦争の叙述に感銘を受け、これは物語ではなく歴史的な事実に違いないと確信し、大人になったら自分がトロイの遺跡を発掘するのだと大志を抱きますべーっだ!




そしてシュリーマンは、商人となって財を築き、最後には遺跡発掘に成功、見事に子供の頃の夢をかなえちゃいましたよ、というサクセス・ストーリーですチョキ




meの場合、夢を忘れずに追い続けていけば必ずかなう!」そんな勇気をもらいたいときにこの本を読み返すことが多かったのですが、今回紹介する『シュリーマン-黄金と偽りのトロイ』を読むと、そんなシュリーマンの印象がガラリと変わってしまいます・・・。

 

 著者は米カリフォルニア大学の教授デイヴィッド・トレイル氏で、この本は1990年代に上梓されています。


 トレイル氏は『シュリーマン―黄金と偽りのトロイ』において、シュリーマンの日記、自伝、往復書簡といった資料を細かく調べていきます。


 客観的な事実を積み重ねながら、シュリーマンを礼賛するどころか、本当のシュリーマンがいかに計算高い人物であったかを詳細に暴くのです。シュリーマンには「虚言癖が」あったガーンということも証明されています。



もし、『シュリーマン―黄金と偽りのトロイ』に書かれていることが真実であるならば『古代への情熱』に書かれている内容のほとんどがウソということになってしまいます。




たとえば、『古代への情熱』では、トロイの遺跡発掘は少年のときからの夢ということになっていますが、トレイル氏によれば、トロイの遺跡のことを知ったのはシュリーマンが44歳のときであったということです。子供の頃は「トロイの遺跡?トロイの遺跡になんか全く興味ありませんよ。ははは。」という感じだったのです。


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また、シュリーマンが商人から考古学者に転じたのは子供の頃の夢を実現するためではなく、自分のことを馬鹿にする妻カテリーナにリスペクトしてもらうためであったということです。商人としてのシュリーマンはカテリーナにとっては、ただの成り金オヤジに過ぎなかったのです。


ががあん叫び叫び叫び




 確かに『古代への情熱』のストーリーは出来すぎていて、多少脚色してあるとは思っていましたが、まさかこれほどとは・・・。




本当のシュリーマンは努力家であると同時に、とっても自己顕示欲が強い山師的な人間だったやうです。



 


『古代への情熱』を読んで感動された方は、きっと幻滅してしまうと思うので、この本は読まないほうがいいかもしれませぬしょぼん



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BRICs経済研究所 代表 門倉貴史黄色い花