近年、いわゆる「ねずみ講」の被害が急増しています。
たとえば警察庁の資料によると、06年から2010年までの5年間で、「ねずみ講」の被害総額は38億1075万円にも上ります。
最近では、インターネットを使ってこうした悪質商法を行う事例が目立っています。
ところで、「ねずみ講」の仕組みはどうなっているかというと、まず親会員が数名の子会員を勧誘、一定の金品を支払わせて組織に加入させます。
さらにそれぞれの子会員は孫会員を勧誘、一定の金品を支払わせて組織に加入させます。このように「ねずみ講」は、後から加入した者が支出する金品を、先に加入した者が受け取りながら、「ネズミ算」式で会員を増やしていくという仕組みになっているのです。
しかし、当然のことながら、「ねずみ講」は会員が無限に増えていくことを前提にしなければ、成り立たないため、最終的にはどこかで行き詰まり、大半の人は結局、損をすることになってしまいます。
単純に計算しても、1人が2人、2人が4人と2倍のペースで加入者が増えていくと、28代目には日本の総人口を超えることになります。
こうしたことから、「ねずみ講」による資金集めや加入、勧誘は1978年に成立した「無限連鎖講の防止に関する法律」で禁止され、違反した場合には、罰金や懲役刑が科されることになりました。
この法律の適用例をみると、たとえば、大阪の通信販売会社「アースウォーカー」は、04年1月から05年6月にかけて、「ねずみ講」の方法で、学生ら5517人を加入させ、合計22億5000万円を支払わせていました。同社の幹部は「無限連鎖講防止法」違反で06年に摘発されています。
直近では、東京の会員制・化粧品会社に「ねずみ講」の疑いが出ています。
BRICs経済研究所 代表 門倉貴史