極楽浄土への道

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年を取ると、昔やってしまったことに対する反省と懺悔の気持ちが強くなります
出来れば「消してしまいたい!」
でも「消せない」 …

法でさばかれるような大罪でなくても、自分の言動が元で人を傷つけ、不愉快な思いをさせてしまった、つい嘘をついてしまった、あるいはしてはいけないことをしてしまった等々、ほろ苦い思い出や罪悪感に心震える秘め事は、誰にもあるもの

あのときはあぁだった、こうだった…と言い訳をしてみても、年を取れば取るほど、重く心にのし掛かって来ます
「こんな俺だけど、極楽浄土へ行きたい!」
「わし、これで極楽往生できるんやろか?」
「 だれか教えて…⤵⤵⤵」
最後に願うことは、昔も今も変わってないのかもしれません(^^)

今回は"The way to JODO"のお話です


極楽ルートその1…念仏編

地獄と極楽  そして念仏
多くの文献を紐解き、地獄と極楽について詳細に解説し、死にゆく作法をまとめたのが「往生要集」(985年)です
作者は、平安時代末期に活躍した天台僧恵心僧都源信

仏教の考え方に「輪廻転生」という考え方があります
生きとし生けるものは、6つ世界(※)をその行いにより生まれ変わり死に変わり、永遠に繰り返えすというものです
※六界(道、趣とも)…上から天上、人間、修羅(阿修羅)、畜生、餓鬼、地獄
大まかに「往生要集」を解説すると…
恵心僧都は「地獄」を8つのステージに分けて、生前に行った悪行と地獄のステージを相関づけ、その攻め苦の凄惨さを見せつけます
うわっ、地獄ってこんなひどいとこなの?
俺、切り刻まれて、スープのネタかい!
助けてくれー!
と思わせたあとで、極楽浄土の素晴らしさを解き、最後に具体的な臨終行儀(作法)を教示するという超効果的な三段論法で構成されています

「和尚、どうしたら極楽往生できるんだい?」
「それはな、仏様を一心に思い念仏を唱えるんじゃよ
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏………  」
「えっ、それだけでいいんかい!」
「そうじゃ、「南無阿弥陀仏」を一心不乱に唱えるんじゃー!」
「和尚、俺実は人殺しなんだけど 大丈夫?
「あぁ、大丈夫だ  南無阿弥陀仏…」
やったぁー 😆🎶」

💡「南無阿弥陀仏」とは…
「南無(なむ)」は深く帰依します という意味
「阿弥陀仏」は臨終に際し、西方極楽浄土から25菩薩を引き連れてお迎えに来てくれるありがたい阿弥陀如来様のこと

こうして恵心僧都源信は、「浄土教の祖」として崇められて、法然さんや親鸞さんに大きな影響を与えるます…

ちょ、ちょっと待ってください!
建永の法難」(1207年)覚えてます?
松虫・鈴虫悲話
本ブログで以前紹介したお話
後鳥羽上皇(承久の変もこの人 ついでに新古今和歌集の選を命じたのもこの人)が寵愛していた「松虫(19)・鈴虫(17)」二人の美しく聡明な女官姉妹が、上皇が熊野詣出をしている隙に、鹿ヶ谷草庵(ししがたにそうあん)の住連坊、安楽坊の元に走り、出家してしまう
しかも密通までしていたという話を聞いた後鳥羽上皇は激昂(ぶちギレ)
①念仏停止(ちょうじ)
関係した僧侶の殺害(坊さんでも殺しちゃう)
法然さん讃岐へ流罪
親鸞さん新潟へ配流
になっちゃう厳しい法難
これ背後で糸引いてたのが比叡山の僧侶達

元は同じ叡山(天台宗)じゃんと思うんだけど

阿弥陀念仏のみを取り出して「」を起こすなんて、とんでもない
「一向専修!」だと、じゃあそれ以外の釈尊(お釈迦様)の教えはどうするのさ!  
俺たちはいらねぇってことかい!
叡山も奈良興福寺もこれには大反対だったんですね
カタルーニャ州のスペインからの独立運動を宗教でやったみたいな感じでしょうか

急激に隆盛した浄土宗が疎まれたか
法然さんは死んで(1212年)からも比叡山の迫害にあってるんです
それが死後15年目の「嘉禄の法難」(1227年)
①隆寛、幸西らが配流
法然廟の焼き討ち
比叡山の僧兵によって御廟が襲撃を食ったわけ
それであわてて信空らが法然さんの遺骸を掘り出して、嵯峨の二尊院に移したっていう事件

法然さんの浄土宗、親鸞さんの浄土真宗は、天台宗からその後も厳しい迫害を受け続けるんです
犬猿の仲なんつーレベルを越えて、めっちゃ仲悪いわけ

今年は、恵心僧都源信さんが亡くなられてから千年、千年忌(1017年没)の年
浄土門各宗派は「祖」の遠忌を執り行いました

そんな中で…

すごいことが起きました

天台座主(天台宗で一番偉い僧侶)が浄土宗の本山知恩院と浄土真宗の本山西本願寺に出向いて、恵心僧都の「一千年御遠忌法要」を合同で行ったんです
エエッ、( ; ゜Д゜)
びっくりしました!

過去の経緯を考えたら、想像もできないことでしょう
歴史的な快挙です
これも恵心僧都の遺徳の為せるわざなのでしょうか

浄土門各宗派の信徒の皆さん
天台座主も認めてくれました
安心して今後も精進してください
きっと行けますよ😄


極楽ルートその2…観音霊場巡り編

我が家の宗教は曹洞宗です
だからって、門徒らしいことは何もしてませんし、何もできません😅
お墓が曹洞宗のお寺の敷地内にあるだけ」というのが正しいでしょうか
法要の際に曹洞宗のお寺に行くから曹洞宗っていう、ほとんど宗教色なく育ってきた私ですが、さすがに、いきなり「なんまいだー」には抵抗があります
ましてや、改宗するってぇのもバーが高いです

そこで私はもうひとつの道から、極楽浄土を目指ことにしました(^^)
それは「観音霊場巡り」です
「観音様の霊場を回って結願すれば「極楽往生」できる」を信じて頑張りたいと思います

何それ!」っていう人のためにちょっと蘊蓄(うんちく)を

まず「観音様」って ?
仏教伝来は飛鳥時代の538年
百済王から経典と仏像が伝えられました
かの有名な聖徳太子(=厩戸皇子)「法華経」などの経典を熟読して「十七条憲法」を制定したと伝わります
飛鳥時代には、すでに「観音菩薩像」の作像記録があるそうなので、伝来当初から観音様は、仏教界のスーパースターだったのでしょう

観音菩薩に関する記述があるのは、聖徳太子も読んだ「法華経」の第25章に書かれています
「法華経(訳:妙法蓮華経)の観世音菩薩普門品第二十五」
これがいわゆる「観音経」と云われるお経です
「観音経」の中で、釈尊(お釈迦様)は云います
観世音は、救いを求める者に対し、いろんな姿に変化(へんげ)してすぐに救ってくれるありがたい菩薩です
だから信じなさい
一心に念じなさい!
「信じれば、火中にあってもその身は焼けることなく、水に流されてもすぐに浅瀬が見つかり助かる…」
ホントかいな?
とちょっとでも疑う人は、絶対に救われないんだそうですよ😱
一心に念じた人だけが救われる
体が焼け焦げても最後の最後まで、必死に念じましょう (。>д<)
エエッ、懐疑主義者の小生には無理無理😢😢😢

なので、ひたすら霊場巡拝の結願を目指すことにしました

なんで霊場は三十三ヶ所なの?
「観音経」の中に、観音菩薩が衆生救済のために変化する具体的なお姿が書かれていますが、その数は実に三十三にもなります
なので、昔の偉い人が、このありがたい「三十三変化」に因んで、霊場を三十三ヶ所にしようと決めたんですね
これが各地にある「観音霊場三十三ヶ所」の由縁です
💡国宝の1001体の観音菩薩が鎮座する蓮華王院三十三間堂(妙法院)の名の由来(「内陣の間の数」が33)もここから来ています

観音様って男or女?
観音菩薩の定義は諸説あって定かではありません
観音菩薩はサンスクリット語で「アヴァローキテーシュヴァラ」と男性名詞で表記されることや「華厳経」の表記などからそもそもは男性だったのではと解釈されていますが、中国に仏経が伝わると観音菩薩は「慈母観音」など女性の仏様として、とらえられるようになります


小生も泉涌寺でこの美しい「楊貴妃観音」を拝見してから「観音菩薩=女性」と思うようになりました
💡「髭生えてるじゃん、おとこちゃうん?
あの上唇の波線は「ひげ」ではなくて、観音様がありがたいお言葉を発しているイメージなんです(諸説あり)
生まれは男だったけど、途中で…ダメですよ変な想像しちゃ(笑)

観音菩薩様は慈愛に満ちた女性というイメージの方が、親しみがあっていいですね

観音霊場巡り
「西国三十三所観音霊場巡り」(西国三十三が本家)は8世紀に始まり、10世紀末第65代花山天皇(968年-1008年 在位984年-986年)が再興したと云われています
西国三十三観音霊場を御詠歌を歌いながら(総距離930㎞)巡拝すれば、極楽往生できるとされ、お伊勢参りと同様、庶民が力をつけ、治安が安定する江戸期に隆盛を極めます

京都府にある西国三十三所霊場
10番  三室戸寺
11番  上醍醐寺
15番  観音寺(今熊野観音寺)
16番  清水寺
17番  六波羅蜜寺
18番  頂法寺(六角堂)
19番  行願寺
20番  善峯寺
番外  元慶寺
28番  成相寺
29番  松尾寺
※「元慶寺」…一条天皇を押す藤原兼家が花山天皇を連れ出し出家させた(大鏡)と伝わる寺院
💡札所15番~20番の覚え方(京都検定用)
今熊野清水寺から六丁(頂)行けば善峯寺
6丁(町)≒109m×6=654m  では清水寺から善峯寺へはたどり着けませんが、京都検定ではこの1点が合否をわけるかも(^^)
西国三十三所霊場で「清水寺」は何番札所か?
逆もよく出ます!  16番=清水寺ですよ

西国三十三所観音霊場巡りは8世紀に始まったとご紹介しましたが、実は昨年から「西国三十三所 創草1300年 特別拝観」がスタートしています(2020年迄)
霊場巡拝が始まって1300年の記念事業だそうです
期間中毎年特別拝観が企画されているようです
これもまた訪れるきっかけ、楽しみになりますね
私も東京オリンピックまでには、西国三十三所巡礼を結願して、「極楽浄土」への切符を手にしたいと考えています
💡ご参考(行く前に要チェック)
http://www.saikoku33.gr.jp/1300/sp.php


前橋市(群馬県)南部の利根川左河岸には広域サイクリングロードが走っています
夏場は蔦系の雑草が繁茂して、どんどん道路を覆っていきます
こうなると道路が狭くなって、朝夕は歩行者と自転車ともに多くなるので危ないんですよ
すると
鎌や電動トリマーを持ったおじいちゃん、おばあちゃんが手弁当でやって来て、きれいにしていくのです
中にはペットボトルに水を汲んできて花を植える人もいて、とにかく一年中きれいになってる
私が自転車で走る数十㎞のエリアに関しては、どこもそうです
一人や二人ではありません
市から委嘱された老人クラブの人達かとも思いましたが、どうも各地区・各地域で自主的にやっていらっしゃるようです
夏場は汗だくで、見ていて本当に頭が下がります

木陰が多く、夏でも快適に走れます
右側の石垣はちゃんと植栽されています
癒される  でしょ!

最近、あの人達もしかしたら…
変化した観音菩薩様のお姿!?
と思うようになりました
側を通るときは思わず手を合わせてしまいます

あの人達の臨終には、間違いなくお釈迦様と25菩薩が雲に乗ってやって来る
知恩院の早来光(はやらいごう)のように
http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/butsuga/item06.html

そう思います

浄土門でなくとも、三十三所霊場巡拝結願しなくても
もしかしたら、この「陰徳を積む」という方法が、簡単で誰でもできる「極楽浄土」への近道(第3の道)なのかもしれませんね  (^^)/