「20のお題詰め合わせ」 さんの
ドキドキほのぼのお題ドキドキ より――#02


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02.そら

石の上 古にしみ世に 有と云う。 
猿と兎と狐とが 友を結びて 朝には 野山に游び 
夕べには 林に帰り かくしつつ 年の経ぬれば 久方の 天の帝の聴きまして 
其れが実を 知らむとて 翁となりて そが許に よろぼひ行きて 申すらく 

汝等たぐひを 異にして 同じ心に 遊ぶてふ 信と聞しが 
如あらば 翁が飢えを 救へとて 杖を投て 息ひしに 
やすきこととて ややありて 猿はうしろの 
林より 菓を拾ひて 来りたり 
狐は前の 河原より 魚をくはへて 与へたり。 
兎はあたりに 飛び飛べど 何もものせで ありければ  
兎は心 異なりと 詈りければ はかなしや 
兎計りて 申うすらく 猿は柴を 刈りて来よ 狐は之を 焼きて給べ 
言ふが如に 為ければ 烱の中に 身を投げて 知らぬ翁に 与けり。 

翁は是を 見よりも 心もしぬに 久方の 天を仰ぎて うち泣て 
土に僵りて ややありて 胸打ち叩き 申うすらく 
汝等みたりの 友だちは いづれ劣ると なけれども  

兎は殊に やさしとて 骸を抱て
        久方の 月の宮にぞ 葬ける

― 今の世までも 語り継ぎ 月のと 言ふことは 
         是が由にて ありけると 聞く吾さへも 
                栲の 衣の袂は 透りて濡れぬ ― 『月の兎』良寛

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$あたしと彼女-おそら

 まんまるお月さまを見上げて
 ぴんくのうさぎは雲のようにふわふわの吐息を一つ
 じんわりと夜風にとかしました。

「シーア?」
 すりすりと身を寄せた蛇(くちなわ)の眸に星が輝いています。
「お月さまにはね、とっても優しいうさぎが棲んでいるのですって。」
「それなのに、なぜお月さまを見ると切なくなるのかしら。
 優しいうさぎならばあたしは誰よりも近くに居て知っているのだけれど
 大好きなシーアが傍に居たらいつだって温かい気持ちになれるのに……」
 呟くチロルの頭を撫でてシーアは長い耳をそっと揺らしました。

 遐(とお)い遐い天の
 輝きに触れる事は叶わないとしても

 私はきっと躊躇う事なく貴女にこの身を捧げるでしょう
 
 それでも――

「私の手はお空には届かないわ。お月さまに棲む事は出来ないのだもの。」
 見ず知らずの餓えた人の為に炎に飛び込む事は出来ないの。
 私のお肉も骨も、皮ですら役に立つのならそれは間違いなく嬉しい事だけれど―― 

「あたし、独りでお月さまに棲むよりも一緒に居られるのが嬉しいわ。」

 そう貴女が笑うなら
 私は月のうさぎじゃなくても好いの。

 いつだってお空は遐くて大きくて
 見上げる事しか出来ないけれど

 月に棲むうさぎや星になった犬のように
 優しい心でいられるように
 どんな時も貴女の手を放さないから 

 
 寄り添う二人を包む天蓋は深い色。
 おそらはいつも其処に在る。






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