【NISA積立投資枠】攻め方ガイド―20代・30代・40代・50代、年金不足が心配なら「使うまでの時間」でリスクを決める
NISAの積立投資枠を、ただ「オルカンを積み立てて放置する」だけでいいのでしょうか。
今回は、3年間積み立てて2年間放置した、5年もので各ファンドの成績を比較します。
オルカンを100とした場合の各ファンドの含み益率に着目します。
まずは旧つみたてNISAです。
3年積み立てで2年放置の5年ものは、ほぼ100%の含み益↓
もちろん、オルカンも立派な投資方法です。
ただ、20代から50代で「将来、年金だけでは足りないかもしれない」と考えているのであれば、私は「いつ使うお金なのか」から逆算して、投資先のリスクを考えることが重要だと思います。
長期運用ならオルカン100とすると、NISAの積立投資枠対象で140~150前後となるファンドもあります。
ポイントは年齢そのものではありません。
そのお金を使うまで、あと何年あるのか。
この時間軸によって、取れるリスクは変わってきます。
まず大原則は「使わないお金だけを株式で運用する」
NISAで積み立てるお金について、最初に決めておきたいことがあります。
それは、
「いつ使う可能性があるお金なのか」
ということです。
10年後の老後資金なのか。
5年後の住宅購入資金なのか。
3年後の教育資金なのか。
同じ「投資資金」でも、時間軸が違えば取るべきリスクは違います。
そこで、あくまで一つの目安として考えてみます。
10年以上使わないお金
→ FANG+など、ハイリスク・ハイリターンの資産も選択肢
3年積み立てで2年放置の5年ものは、150%の評価損益↓
※各ファンドの過去の一定期間における比較であり、将来の運用成果を保証するものではありません。
10年以上使う予定がないのであれば、株価の大きな変動を受け入れやすくなります。
特に若い世代なら、積立期間が長いことそのものが大きな武器になります。
ただし、FANG+のような集中型の商品は、当然ながらオルカンより値動きが大きくなります。
「10年持てば必ず大丈夫」という意味ではありません。
10年以上使わない覚悟があるからこそ、大きな値下がりにも耐えやすい
という意味です。
独身で20代の方で、FANG+一択という何人かの方をブログで見たことがあります。
FANG+はボラティリティが高いため、2~3年程度ではS&P500をアンダーパフォームする局面もあります。
つまり、やきもきする期間が当初数年つづく覚悟は必要です。
しかし、5年くらいたつとアウトパフォームしてきます。
まずは特定口座で毎月1000円積み立てして、比較して様子見するのも手です。
5年以上使わないお金
→ NASDAQなど
3年積み立てで2年放置の5年ものは、142%の評価損益↓
FANG+ほど集中させたくない。
でも、世界株より成長性を狙いたい。
そんな場合にはNASDAQ系のファンドも選択肢になります。
ただし、NASDAQもハイテク株への依存度が高いため、大きな下落局面ではかなり下がる可能性があります。
「5年間使わないから安全」という意味ではありません。
あくまで、
5年以上使わないから、ある程度の価格変動を受け入れられる
という考え方です。
3年以上使う予定がなく、下落しても売らずに済むお金
→ 広く分散された世界株など
3年積み立てで2年放置の5年ものは、121%の評価損益↓
3年積み立てで2年放置の5年ものは、133%の評価損益↓
企業型DCでは、オルカンより先進国株などが選択肢です。
SP500の一本足打法よりも世界分散という考えに基づいています。
3年積み立てで2年放置の5年ものは、111%の評価損益↓
先進国株式と新興国株式を組み合わせることで、世界分散に近づけることができます。
なので、こうやって二つに分けて投資すると理解が深まります。
さらに使用時期が近づいてくるなら、投資対象を広げてリスクを抑えていく。
ACWIやオルカンのような世界株型は、米国だけでなく複数の国・地域・企業に分散できます。
もちろん株式なので元本保証ではありません。
3年という期間でも、大きな下落が起こる可能性はあります。
したがって、
「3年なら世界株なら安全」ではなく、「3年~5年程度しかないなら、集中投資よりは分散された株式の方が考えやすい」
という位置付けです。
株式投資では「何年持てば安全」という答えはない
ここは非常に重要です。
FANG+なら10年。
NASDAQなら5年。
ACWIなら3年。
これは「その期間なら安全」という意味ではありません。
株式市場には、過去にも大きな暴落がありました。
場合によっては、
▲20%、▲30%、▲50%
といった下落も起こります。
そして重要なのは、
暴落は「投資を始めてから○年後に起こる」というルールがない
ことです。
10年間上昇した後に大暴落するかもしれません。
投資を始めた翌年に大暴落するかもしれません。
だからこそ、投資期間が長い人ほど、
「暴落しない商品を探す」
のではなく、
「暴落しても売らずに済む資金計画を作る」
ことが重要になります。
「前半は攻め、後半は守る」という考え方
そこで私が考えたのが、
時間の経過とともにリスクを落としていく方法
です。
例えば20代から老後資金を作る場合。
投資期間が非常に長い前半では、
FANG+などのハイリスク・ハイリターン型
を組み入れる。
そして年齢を重ね、使う時期が近づいてきたら、
NASDAQ → ACWI・オルカン → 公社債・現金
というように、徐々にリスクを落としていく。
いわば、
「リスクの時間分散」
です。
最初から最後まで同じ商品を持ち続ける必要はありません。
若いうちは「成長」を重視し、使う時期が近づいたら「守る」方向へシフトする。
これなら、積立投資と資産防衛を同じ計画の中で考えることができます。
iDeCoのターゲットイヤー型商品と少し似た考え方です。
50代は「最初から守りを混ぜる」
では50代ならどうでしょうか。
20代と同じように、FANG+を中心に積み立てる必要があるでしょうか。
私は慎重に考えた方がいいと思います。
50代になると、老後までの時間が20代ほど長くありません。
そこで、
最初からACWI・オルカンなどの世界株の比率を高める
という方法があります。
さらに、
公社債など値動きの小さい資産を組み合わせる
方法もあります。
例えば、
「株式100%」
ではなく、
「世界株+公社債」
という構成にする。
これだけでも、株式市場が大きく下落したときの精神的な負担は変わってきます。
重要なのは、最大リターンを狙うことではありません。
必要な時期までに、必要な金額を残すこと。
50代以降では、この視点がより重要になります。
60代以降は、高配当株などのインカム型資産を組み合わせる方法もあります。
生活費1年分は「投資しない」
そして、株式投資とは別に、
1年以上の生活資金は現金でキープする。
これも重要なルールです。
例えば、株式市場が50%下落したとします。
そのときに、
「生活費が必要だから、含み損でも売らなければならない」
という状態になっていたら、長期投資のメリットを活かせません。
一方で、1年程度の生活費を現金・定期預金などで確保していれば、
「今は株が下がっているから、売らなくてもいい」
という選択肢を持てます。
投資では、
「何を買うか」だけでなく、「暴落時に何を売らなくて済むか」
も非常に重要です。
学費など「使うことが決まっているお金」は投資しない
さらに、
「3年後に大学の学費として使う」
「5年後に住宅購入の頭金として使う」
など、用途と時期が決まっているお金。
これは老後資金とは分けて考えるべきです。
こうした資金まで株式に入れてしまうと、必要な時期に暴落している可能性があります。
学費など用途が確定している資金については、
必要時期が近いほど、現金や個人向け国債など、安全性の高い資産の比率を高める
という考え方もあります。
もちろん、必要時期が近いほど、現金など安全性の高い資産の比率を高める方が合理的です。
そしてもう一つ。「投資に無関心」にならない
ここが、この投資法で私が特に重要だと思うところです。
「オルカン一本で積み立てて、あとは完全放置」
これはこれで、合理的な方法です。
しかし、別の問題もあります。
投資について何も経験しないまま、いきなり大きな資産を持つことになる
可能性があります。
例えば、20年間オルカンを積み立てて、資産が3,000万円になったとします。
そこで突然、世界的な金融危機が起きて、資産が1,500万円になった。
そのとき、
「20年間ほとんど値下がりを経験していない」
人と、
「少額ながらNASDAQやFANG+も保有し、大きな下落を何度か経験してきた」
人では、心理的な耐性が違うでしょう。
少額の「授業料」を払って相場観を養う
そこで私は、
オルカンをメインにしながら、少額だけ別のファンドも特定口座で積み立てる
という方法も面白いと思います。
例えば、
- オルカン → メインの長期資産形成
- NASDAQ → 米国ハイテクの値動きを学ぶ
- FANG+ → 集中投資のリスクを学ぶ
- その他の資産 → 異なる値動きを学ぶ
という具合です。
もちろん、わざわざリスクを増やす必要はありません。
重要なのは、
「少額で経験する」
ことです。
少額なら、下落しても生活に影響しません。
そして、
「NASDAQはこういうときに下がるのか」
「FANG+はこんなに値動きが大きいのか」
「世界株は米国株と完全には同じ動きをしないのか」
といったことを、実際のお金を通して学べます。
これは投資の「授業料」と考えてもいいでしょう。
行動経済学的にも「経験」は重要
投資で怖いのは、知識不足だけではありません。
人間は、含み損が大きくなると不安になり、
「もっと下がる前に売ってしまおう」
と考えやすくなります。
逆に、上昇すると、
「もっと買った方がいいのでは?」
と欲が出ます。
こうした感情に振り回されて、
高く買って、安く売る
という逆の行動をしてしまうことがあります。
だからこそ、少額でも実際の相場を経験しておく。
「上がるときもあれば、下がるときもある」
という感覚を身につけておく。
これが、将来大きな資産を運用するときの心理的な支えになる可能性があります。
「難しい知識不要」に安心しすぎてはいけません。
投資を続けるうえで必要な知識まで、獲得する機会を放棄してしまう可能性があるからです。
NISA積立の基本は「攻める」より「逃げなくていい状態を作る」
結局、NISAの積立投資で重要なのは、
「どの商品が一番儲かるか」ではありません。
むしろ、
「暴落しても投資を続けられるか」
です。
そのためには、
① 使うまでの時間を考える
10年以上使わない
→ 成長性を重視する選択肢
5年以上使わない
→ ハイテク・米国株なども検討
3年以上しかない
→ より分散された世界株などを中心にする
② 生活資金を投資と分ける
1年以上の生活費は現金などで確保。
③ 用途が決まった資金は守る
学費や住宅資金などは、必要時期が近いほど安全資産の比率を高める。
④ 年齢が上がったらリスクを落とす
20代・30代
→ 成長重視
40代
→ 徐々に分散
50代
→ ACWI・オルカンや公社債を組み合わせる
というように、時間とともに変えていく。
⑤ 少額で経験する
オルカンをコアにしながら、特定口座で少額のNASDAQやFANG+なども経験してみる。
ちなみに私はPayPay証券で、1000円ずつ50銘柄個別株を試し買いしたことがあります。
5万円の授業料は4年後10万円+知識という形でかえってきたのです。
「買う商品」より「使う時期」を先に決める
NISAというと、
「オルカンがいいのか?」
「S&P500がいいのか?」
「NASDAQがいいのか?」
「FANG+がいいのか?」
という商品選びに目が向きます。
しかし、本当に最初に考えるべきなのは、
「そのお金をいつ使うのか?」
ではないでしょうか。
10年使わないお金なら、ある程度のリスクを取れる。
5年なら少し落とす。
3年ならさらに分散する。
そして、生活費や学費など、絶対に必要なお金は投資から切り離す。
この「時間軸」と「資金用途」を明確にするだけで、NISAの積立戦略はかなり整理できます。
投資は、リターンを最大化するゲームではありません。
必要なときに、必要なお金を残すゲームでもあります。
だからこそ、
「攻める時期」と「守る時期」を最初から決めておく。
これが、20代から50代までの長期的な資産形成では、非常に重要な考え方だと思います。





