【GPIFに勝った?負けた?】+15.3%だった私の3か月間――「国民年金」は本当に期待できないのか?
先日、私自身の資産運用を振り返っていて、ちょっと面白いことに気がつきました。
よく国民年金には期待できないという記事を目にします。
でも記事は目にしますが実際に人がソン(損)なこと言っているのは聞いたことはありません。
「そういえば、GPIFの運用成績と比べたら、自分はどうなんだろう?」
GPIF――年金積立金管理運用独立行政法人。
私たちの年金積立金を運用している、日本最大級の機関投資家です。
巨大な運用資産を持ち、世界中の株式や債券に分散投資していることから、しばしば「世界のクジラ」とも呼ばれます。
国内債券はマイナス、外国債券は為替差益でプラスです。
国内株式は日経平均でなくてTOPIX。
MSCI ACWI(除く日本)だけ見ると、17.56%となっています。
そんなGPIFと、自分のポートフォリオを比べてみました。
すると、私の3か月間の期間収益率は、
+15.3%
となっていました。
これは、ちょっと嬉しい数字です。
ただし、ここで「個人投資家の私がGPIFに勝った!」と喜んで終わってしまうと、本質を見誤ります。
今回の結果から私が感じたのは、
「個人投資家は、GPIFと同じ戦い方をする必要はない」
ということでした。
2026年3月末から6月末までの資産推移を確認すると、
私の3か月間は+15.3%
となりました。
単純に比較すると、3か月間で約15.3%の上昇です。
でも外国債券と国内債券がほとんど持っていないので半分にすると約7.6%の上昇です。
おやおや、▲0.6ポイント負けていますね。
一方、GPIFについては、運用資産全体の収益率を見る場合、単純な「株価の上昇率」ではなく、各資産の収益を含めた時間加重収益率など、年金基金として適切な方法で計算されています。
したがって、私の数字とGPIFの数字は、厳密には「同じ商品を競争させている」わけではありません。
それでも、
「自分の資産は、この期間にどのくらい増えたのか」
をGPIFと比較してみるのは、個人投資家にとって面白いチェック方法だと思います。
GPIFの基本ポートフォリオは「株式50%・債券50%」
現在のGPIFの基本ポートフォリオは、
- 国内債券 25%
- 外国債券 25%
- 国内株式 25%
- 外国株式 25%
という構成です。
つまり、大きく見ると、
株式50%・債券50%
です。
これは「リターンを最大化するためのポートフォリオ」ではありません。
GPIFの使命は、国民から預かった年金積立金を長期的に運用し、年金財政の安定に貢献すること。
そのため、株式だけに大きく偏るのではなく、債券を組み合わせながら、長期的なリスクとリターンのバランスを取っています。
ここが、個人投資家との大きな違いです。
私がGPIFを上回った理由
今回、私の運用成績がGPIFを上回ったとしても、
「私の投資能力がGPIFの運用チームより優れていた」
という話ではありません。
おそらく一番大きな理由は、
資産配分の違い
です。
私のポートフォリオは、GPIFに比べてかなり株式・株式ファンド寄りです。
つまり、
株式市場が大きく上昇したときには、その恩恵をより強く受ける。
逆に、
株式市場が大きく下落すれば、その痛みもより大きくなる。
それだけのことです。
言い換えれば、今回は「上昇相場に乗っていた」ということになります。
GPIFが持っている「債券」は、個人投資家にとっての意味とは違う
GPIFの債券比率を見て、
「債券なんてリターンが低いから、株式だけにした方がいい」
と考えるのは少し違います。
GPIFにとって債券は、
リスクをコントロールするための重要な資産
だからです。
株式市場が暴落したとき、株式100%のポートフォリオは大きなダメージを受けます。
しかし、債券を組み合わせておけば、ポートフォリオ全体の値動きを抑えることができます。
年金基金のように、
「何十年にもわたって巨大な資産を運用しなければならない」
という立場なら、この安定性には非常に大きな意味があります。
一方、個人投資家には別の自由があります。
個人投資家には「出口」がある
個人投資家の場合、自分の年齢、収入、年金、生活費、資産額、リスク許容度などを考えて、資産配分を自分で決めることができます。
例えば、
「年金、不動産、高配当株などフロー資産で生活費の大部分をまかなえる」
のであれば、金融資産のすべてを現金化する必要はありません。
逆に、
「株式が30%下落したら生活が苦しくなる」
のであれば、株式比率を下げた方がいいでしょう。
重要なのは、
GPIFのポートフォリオをそのまま真似することではなく、自分の人生に合ったポートフォリオを作ること
だと思います。
ただし、iDeCoはGPIFベンチマーク風に、MSCI ACWI(日本除く)、MSCI コクサイ、TOPIXにしています。
「GPIFに勝った」は一時的な結果
今回の+15.3%という数字は、素直に嬉しいです。
GPIFと比較して、
「おっ、今回は自分の勝ちだな」
とニヤニヤするくらいは許してもらいましょう(笑)。
ただし、これを投資能力の証明だとは考えていません。
むしろ、
株式比率が高ければ、株式市場が好調なときにはGPIFより高いリターンになることがある。
という、ごく当たり前の結果です。
反対に、株式市場が大きく下落すれば、
「GPIFは8%下落なのに、自分は20%下落」
ということも十分に起こり得ます。
だからこそ、
「勝った・負けた」よりも、「なぜこの数字になったのか」を考えることの方が重要
なのだと思います。
個人投資家は「巨大ファンド」になる必要はない
GPIFは、私たち個人投資家とはまったく違う使命を持っています。
何十兆円、何百兆円という資金を運用し、国民の年金制度を支える。
そのために、徹底した分散投資とリスク管理を行う。
これはGPIFだからこそ必要な運用です。
一方、個人投資家には、
「自分のお金を、自分の人生に合わせて運用できる」
という大きなメリットがあります。
資産形成期なら株式比率を高める。
資産を使う時期が近づけば、現金や債券を増やす。
年金収入が十分なら、金融資産を長期運用に回す。
逆に、生活費を運用資産に頼るなら、暴落時に売らなくても済むだけの現金を確保しておく。
こうした調整ができるのは、個人投資家ならではです。
今回の「勝利」で考えたこと
今回、
GPIF < 私
という数字になりました。
しかし、これは「私の方が優秀」という意味ではありません。
むしろ、
「リスクを多く取った人が、上昇相場ではより大きなリターンを得た」
というただそれだけです。
投資では、この当たり前のことを忘れないようにしたいと思います。
リターンは、リスクの裏返し。
そして、資産運用で本当に重要なのは、
「最高のリターンを取ること」ではなく、「自分が耐えられるリスクの範囲で、必要なリターンを確保すること」
です。
今回はたまたま追い風でした。
次の四半期はどうなるかわかりません。
GPIFにまた勝つかもしれない。
今度は大きく負けるかもしれない。
それでも、自分の資産配分が自分の人生設計に合っているのなら、それでいい。
GPIFと競争する必要はありません。
個人投資家のライバルは、GPIFではなく、
「自分自身のリスク許容度と、人生のキャッシュフロー」
なのだと思います。
そしてデータを記録しているとGPIFと比較するなどロジカルな分析ができます。
いくら増えたよりも何パーセント増えたのか減ったのか?
そんなことを考えながら、次の四半期も淡々と運用を続けていきたいと思います。
※GPIFの運用実績は更新されます。また、GPIFの収益率と個人の資産評価額は、計算方法や資金流入・流出の有無などが異なるため、単純な「運用能力」の比較ではありません。GPIF自身も運用状況は長期的に判断する必要があると説明しています。


