30代でオルカン一本足打法ではFIREできない──『世界の新富裕層はなぜオルカン、S&Pを買わないのか』を読んで考えたこと
最近、『世界の新富裕層はなぜ「オルカン、S&P」を買わないのか』という本を読みました。
いつもこの手の本は図書館で予約することが多いです。
そして既に理解して実践していることは、すっ飛ばすのですぐに読み終えてしまいます。
がしかしです、久しぶりに中身の濃い内容です。
もちろん、この本は「オルカンはダメ」「S&P500は失敗」という話ではありません。
むしろ考えさせられたのは、
「資産形成」と「資産運用」は全く別物である
ということでした。
SNSでは
「オルカンだけで億り人になりました」
という投稿をよく見かけます。
しかし、その先の
「では、その資産で30代から60年以上生活できますか?」
という議論はあまり見かけません。
そこが、本当に考えるべきポイントだと思います。
私のリタイアメントプランを逆算すると見えてきた現実
私のリタイアメントプランでは、
55歳で約5,000万円
あれば、その後は年金へスムーズにつなげられるという設計になっています。
ここから年齢を5歳ずつ若返らせると、
| リタイア年齢 | 必要資産 |
|---|---|
| 55歳 | 5,000万円 |
| 50歳 | 7,000万円 |
| 45歳 | 9,000万円 |
| 40歳 | 1.2億円 |
| 35歳 | 1.4億円 |
| 30歳 | 1.6~1.7億円 |
という水準になります。
これは「もっと贅沢をする」ためではありません。
年金を受け取れる年齢まで生活するためのブリッジ資金を積み上げた結果です。
若くなるほど、このブリッジ期間が長くなるため、必要資産は急激に増えていきます。
億り人とFIREは全く違う
ここで勘違いしやすいのが、
億り人=FIRE
ではないことです。
例えば1億円あっても、
30歳なら約60年間、
40歳でも約50年間、
資産を取り崩して生活する必要があります。
家を買えば、持ち家ありだが金融資産なしになります。
一方、
55歳なら年金開始まで10年前後です。
必要な時間がまるで違います。
つまり、
同じ1億円でも価値が全く違う
ということです。
オルカンの最大の武器は「時間」
オルカンは非常に優れた商品です。
私自身もNISAではオルカンを保有しています。
しかし、
オルカン最大の武器は
長期間積み立て続けること
です。
逆に言えば、
取り崩し局面では事情が変わります。
30代でFIREすると、
人生の半分以上が取り崩し期間になります。
そこでは、
- 大暴落
- 高インフレ
- 円安・円高
- 税制変更
- 想定外の支出
など、数十年間にわたり様々なリスクに向き合わなければなりません。
積立期の理論だけでは説明できない世界です。
●投資戦略の壁
・時間
・お金の価値が減る
新富裕層が考えるのは「出口」
本を読んで印象的だったのは、
新富裕層は
「何を買うか」
よりも
「どう守る(資産防衛する)か」
を重視している点です。
資産が増えてくると、
株だけではなく、
- 債券
- 金
- REIT
- 現金
- 事業
- 不動産
などを組み合わせ、
相場に左右されすぎない資産構成へ移っていきます。
これはリターンを諦めたのではありません。
資産を守ることも運用だからです。
●ハードアセットマネー戦略
・法定通貨つまり現金は資産ではない
・徹底的な分析
・長期目線でリスク管理
・常識を疑う
わたしは超富裕層ではありませんが、考え実践してきたことがこの戦略とほぼ一致して共感しました。
私が55歳モデルでオルカン100%にしない理由
55歳モデルでは、
オルカンだけではありません。
現金
債権(個人向け国債など)
日本株
REIT
金
これらを組み合わせています。
理由は単純です。
55歳以降は
増やすこと
だけでなく、
できれば減らさないで取り崩し続けること
が目的になるからです。
オルカン100%は資産形成には合理的でも、
リタイアメント運用としては、
守りが弱いと考えています。
オルカン一本足打法では30代FIREは難しい
SNSでは
「オルカンだけでかんたん億り人」
という投稿が目立ちます。
しかし、
30代で1.5億円前後を給与所得だけで築くのは、現実には極めてハードルが高いでしょう。
もし実現している人がいるなら、
- 高収入
- 起業
- ストックオプション
- 事業売却
- 相続
- 暗号資産
など、
オルカン以外の要因が大きく寄与しているケースも少なくありません。
オルカンはゴールではなく、
あくまで資産形成の一つの手段です。
おわりに
私はオルカンを否定しているわけではありません。
むしろ、資産形成期には非常に優れた商品だと思っています。
しかし、
資産形成と資産運用は違います。
そして、
億り人になることと、一生資産で暮らすことも違います。
私が55歳・5,000万円というモデルを出しているのも、「いくらあれば安心か」を示したいからではなく、
年金という将来のキャッシュフローから逆算して必要資産を考える
という発想を共有したいからです。
オルカンは優れたエンジンです。
しかし、長い人生を走り切るには、エンジンだけではなく、ブレーキやサスペンションも必要です。
資産運用も同じです。
本当のリタイアメントプランとは、「増やす」だけではなく、「守る」「取り崩す」「引き継ぐ」まで設計して初めて完成するのだと思います。
●インフレ時代の資産防衛と成長戦略
・海外資産
・不動産
・金
・暗号資産
・現金(MMF 短期国債など流動資産)は資産の10%~20%を目安
・タックスプランニングで税金の最小化(NISA iDeCo 法人化)
・知識と人脈
この本では、資産1億円ではもはや中流と言い切っています。
つまり、労働者の頂点として富裕層の壁がありそこに経営者の出発点があるということなのだと気づかされました。
「金持ち父さん」や「DIE WITH ZERO」 では実現が難しそうな成功体験と自慢が半々のような部分も感じる部分もあり答えの解説本のようでもあります。
しかしこの本はこそだれでも参考になる考え方や行動指針を鼓舞させる良書だと思いました。
