ゆきへ

2015年3月9日

いつものように、家路に向かおうとしていた。
何も考えずにただ電車に乗り、何も考えずに、主人に数回電話をかけた。
駅に迎えに来てほしいけど、何度かけても主人は応答せず。
仕方なく15分程待って、家のそばまで走るバスに乗った。
そして何気なく、夫にメールした。
そしたら返信があつた。


ゆきが死んじゃったって。

あまりにも突然すぎて、頭が、心が否定して、何が何だかわからなかった。

バス停から坂道をかけあがり、がむしゃらに走るうちに、涙で息があがってしまった。
玄関口の戸をノックしながら、一瞬今日がエープリルフールなんじゃないか、なんて本気で思ったよ。でも、いつもなら、ゆきがすぐに駆けつけ大きな声で吠えるのに、その声は聞こえなかった。それでも、まだ信じられず、弟がドアを開けてくれ中へ入った。
ゆっくりリビングに歩み寄ると、そこには、ぐったりしたゆきが旦那の腕の中で眠ってた。
駆け寄り、泣いた。ゆきのふさふさの毛の中に、顔を押し付けて、泣いた。

もっと、遊んでやったらよかった。もっと、ゆきに注意を向けてやればよかった。
もっと、散歩にいけたらよかった。もっと、撫でてやったらよかった。
もっと愛してあげたらよかった。もっと、もっとって、悔しいほどの後悔が溢れる。
ごめんね。。。ゆき。。。


私は知ってるよ・・・
夫があなたを初めて家に連れて帰った時、彼は日本の留学を終えてオーストラリアに帰ったばかりだった。あの時の彼は、私が突然彼の毎日からいなくなってしまったから、おかしいほど寂しがっていて、どうしようもなかったんだよね。
だからあなたを連れてかえったの。小さくて、可愛くて、フワフワで、だれの心もうっとりさせるような、澄み切ったゆきのチャーミングな瞳。
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あの日から、ゆきが夫の心を満たしていってくれた。そして、夫が辛い時も、寂しいときも、嬉しい時も、絶え間なく寄り添い、支えてくれたんだよね。

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私が遠距離をしていたころ、夫の家に遊び行くたび、私はゆきに「彼のことをどうぞよろしくね」って言ってたのを覚えてる。
だって、例え私と彼の関係がうまくいかなくなっても、ゆきは彼の傍にいてくれるから。夫のことを笑顔にできるから。
そんな、あなたが、今日突然いなくなって、私以上に夫は心が張り裂ける思いだと思う。

夫が、「ゆきは僕の娘のような存在なんだ」って真っ赤な瞳で言った。
苦しかった。どうしようもなく、寂しくなった。

もう朝起きても、家に帰っても、家じゅうにあなたの足音がひびかないこと、水をやたら飲みたがって、蛇口をペロペロなめる姿も見れないこと、たくさん毛が抜けるから掃除機をいつもかける必要がなくなったことも、すべてが恋しくって、もう一度あなたに会いたくて仕方ないよ。

今日からあなたがいない毎日、こんな毎日の中の、いろんな場面で、きっとあなたを思い出すと思う。そして、またとてつもなく寂しく、恋しく思うんだと思う。

忘れないよ。ゆき

ほんとに、ほんとに、沢山の笑顔をありがとう。


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