ザ・ウォーカー / 2010年米

ザ・ウォーカー / THE BOOK OF ELI

あらすじに「本」を運ぶ男…そして、原題にも＜BOOK＞の文字がありますが、最初はイーライが何をしようとしているのか、わかりません。むしろ、謎すぎる彼の出で立ち。そして、あまりにも華麗すぎる剣さばき。目的地はだだ「西」へ…彼が何を目的として、何を目指しているのかが、だんだんと明かされていき、最後には驚くべき事実が！そこまでの道のりはあまりにも過酷で、腐敗した世界に生きるイーライにとっては、誰一人として信用がおけないのです。

すごーく昔に観た、フォレスト・ウィテカー主演の『ゴースト・ドッグ』を思い出しました。寡黙に、誰を信じるわけでもなく、ひたすら信念のままに生きる男イーライ。世界が崩壊した近未来において、何が必要であるかを全て知っているかのような無駄のない動き。立ち寄った集落で、独裁者カーネギーに出会うまでは、順調だったはずなのに…

荒廃したただ広いだけの大地を照らす太陽。人類が作った色は全て失われ、崩壊したこの地球で、ただ一冊となったとある本を運ぶ男。その本に魅せられ、本のためならば手段を選ばない男。そして、女。どんな作品なのか、観てみなければわからないような予告編を手がかりに、デンゼル・ワシントン主演といことで、ほんの少しの期待を持ちつつ、観にいきました。

本を運ぶ男イーライに、デンゼル・ワシントン。寡黙なイーライ。本を守るために、近づくものは容赦せずに殺す。その目的のために。常にサングラスをかけているので、その表情を読み取ることは難しく、なんか…座頭市！？（って、座頭市がよくわからないけど…）ある意味、神がかったような役どころ。神の思し召しの如く、ただ西に向かって歩き続ける姿は、一歩間違えれば狂ってる…彼の持つ本を奪うために、絡んでくる輩は、彼の持つ独特のオーラに恐怖心さえ覚えながらも、その恐怖心から殺されるってわかっているのに、つい向かっていってしまうのでしょうねぇそれにしても強い！彼のお手製！？の鋭い剣は、まるで悪魔でも宿っているようでした。

そして、本を探す男カーネギーにゲイリー・オールドマン。ゲイリーって、こういう普通じゃない役が上手いですねぇそれも、かなりヤバい役どころが。カーネギーが何故にこんな風に独裁者になれたのか、謎ですが…たまたま字が読めて、崇拝されたのか！？それとも、何か人を奴隷化させるべく元手となるものを持っていたのか？そのあたりの背景をあまり深く掘り下げていませんでしたけど、何しろ彼の周りにイル輩は、頭は空っぽだけど、喧嘩早い！…筋肉バカ！？そんな奴らが手下だから、そう簡単には結局は思い通りに事は進まないのですよね。見ていて、ザマーミロ！とか思っちゃいました。

カーネギーの愛人？には、「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールス。きれいですねぇ相変わらず。お気に入りのドラマ「Lの世界」では、ビアンを演じている彼女も、今作では美しい女性を演じています。酷く悲しい現実を持った、女性を。
その娘ソラーラにミラ・クニス。個人的にあまり魅力を感じなかったのですが…この物語の中でも、「女ってやつは…」って思わせるようなうっとおしい役どころ。最近、一匹狼にまとわり付く女性がウザイっていう方式、多くないですか！？（そんなこと思うのは、私だけ？）

まるで、アニメーションを見ているかのようなアクションとカメラアングル。そして、その色味、独特の雰囲気の中、灼熱の太陽と荒れ果てた大地の中で、一冊の本を奪い合う姿は、自分が見ることのない世界であるとわかっていながらも、こんな世には生まれたくないと思わせるのでした。

監督 アレン・ヒューズ 、アルバート・ヒューズ
製作総指揮 スティーヴ・リチャーズ 、スーザン・ダウニー 、エリック・オルセン
原作 －
音楽 アッティカス・ロス
脚本 ゲイリー・ウィッタ
出演 デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、レイ・スティーヴンソ、ジェニファー・ビールス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、マイケル・ガンボン
上映時間 118分
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id335900/