そんなタイトルがつけられた作品だ。
原田宗典は原田マハの兄にあたるのだそうだ。
ジョークが効いた、小洒落たエッセイが上手な人だと私は思っている。
様々な状況が氏に襲いかかり、まさに死の中にあった状況にすら
身をおいた。だが一命を取り留めた。死に身を委ねたところ
その世界は彼をはじき出した。
その一連の有様を私小説風にランダムに書き留めたのが
本作となる。
読むべきか、読まざるべきなのか。
一つ言えば、物書きだけが書きうる世界がここにはある。
誰も書き切ることの出来なかった描写が、フィクションでは
ないと確信せざるを得ない瞬間が書き込まれている。
原田宗典の作品をまたこれからも読みたいと思う。
運命のいたずらであったにしても、何かの縁で
ペンを持てるのであるから、その筆は走らせてほしいと
私は思う。
単古本から文庫までになっているのだから、
そんな思いの人は決して少なくないということだ。
この本の最後にあるこの文章がこの本の意味を語っているのだろう。
「自分はぜんたい何を書こうとしてきたのか?あらためて自問してみると、
最初に脳裏に浮かんできたのは、あの日、バリ島の空に揚がっていた凧だった。
風は常に未来から吹いてくる。それを受けて、私の凧は天高く舞い上がる。地上
とは、ただ一本の糸で繋がっているだけだ。見上げれば、その姿はただ純粋に
美しい。けれど逆に、凧から見下ろす地上の風景は一体どんなふうに見えるのだろう?
私が書きたかったのは、多分そんなことだ」