特殊熱処理が施されたチタンパイプカンチレバーを採用したMMカートリッジ。
高エネルギー希土類コバルトマグネット、特殊ダイヤモンド針を組合わせることで、
軽質量の振動系を実現。
厚めのアクリルスタイラスノブやアルミダイキャストフレームを採用することで共振を低減、
とネットの情報にある。
1980年頃、僕はテクニクスのピュアボロンをカンチレバーとした
MMのカートリッジを使っていた。アルミでもいい音のする
カートリッジは沢山あると思う。でもその全部を試してみるわけにはいかない。
103など定番ものは手に入れ聴いてみた。
当時FMでレコードがかかっていたとすると
この音だ。悪かろうはずがない。
だから一味違う音を聴いてみたかった。
カンチレバー素材の違いもあるだろうし
構造の違いもある。テクニクスのカートリッジは
一体型で、リード線やシェルなどある意味面倒な
ことは何も無かった。
「音楽に耳を傾ける」
それがやることのすべてだったのは
とても良かったことだったと今でも思う。
ひょんなことからタイトルにある
チタンカンチレバーであるこのカートリッジを手にし
ここしばらくこの音に身を沈めている。
照明を落とした部屋に、雪で月明かりが照らされ
障子戸を通しそれが忍ぶように入り込んでくる。
夜更けもそれが深まるころには
あらゆるものの気配が消える。
静まり返った中、
ほのかな灯りのもと
そこに染み渡る音には
また格別な味わいがあるのだ。