「TKY」

兎にも角にも音の輪郭が凄い。

切れるような音が聴こえてくるではないか。

ベース音はかつて聴いたことの無い音圧で鳴り響く。

 

ちなみに僕が所有する一般的なCDでは最も

音質が優れていると感じていた木住野佳子「フェアリー・テイル」、

これがSACDを聴いた後では霞んでしまう。

(しかしながらナチュラルでクリアな録音の良さは変わらない)

 

吉田拓郎

初めての音源というものは文字通りお初に聴くわけであるから

比較するという面では厳格な基準というものがない。

 

その点において拓郎は僕がそれこそ小学校3年レベルから

聴いている音として基準がある。また10代から20代、

音楽が完全に日々の中に同居し、誰かと話しているか

コーヒーを飲んでいるかあるいは音楽を聴いているのか。

そのどれかに当てはまるという日々に拓郎の音楽もあった。

そんな状況にあった比較は正確で、分かりやすいものがある。

 

時代も異なるがLPレコードとSACDの違いは明白だ。

 

と、ここまで書き、他にも書きましたが

まず、CDとSACDとの比較とはならないわけで

レコードとの比較ということになり、これは熱を入れて

書いてみてもちょっと違うという気になってきた。

 

そんなことからほかのレビューは割愛することにしたい。

 

カズさんからいただいたSACDプレーヤーは僕に

かつて聴いた音楽をもう一度「情熱を込めて聴きなおす」

という機会を与えてくれたと思う。

 

輪郭のクッキリとした音は音楽の持つメッセージを

より的確に僕に伝えてくれた。

磨き抜かれた腕を持つミュージシャンによるステージが

さながら目の前で繰り広げられるように感じるのは

時代がもたらしてくれたご褒美だ。

 

このようにSACDは音楽をもう一度真摯に聴きなおすという

状況をもたらし、去ってしまったアーティストたちが残してくれた

音をもう一度、そしてまた新たに見い出させてくれている。

 

kazzさん ありがとうございます。

 

 

おまけ(おまけってなんだということですが)

 

ビル・エヴァンスを聴いてみた

オランダ の放送局で録音したというもの
リマスターしたということで音はこの年代とは思えないほど良くなっている。
それは僕の 1990年 の CD プレイヤーでも十分に感じることができる

だけどもパイオニアの PD 6 D で聞く このビルエヴァンスは実に トータルに生々しい。
音を丸裸にするような器材がある。
べールを1枚剥いだというよりは、音の全てに 節度がある。こいつが心地いいのだ。僕のプレイヤーではメタリックにさえ聞こえるピアノの音が普通に優しく聞こえてくる。

やはり ビルエヴァンスは知的でジェントリーなんだということを音として感じることができる。

音色の統一感があって聴いていて安心していられる。リマスターされ 蘇ったビルエヴァンスのよさのすべてが表現されていると思うのだ。

じゃあ僕がいつも使っている 1990年の CD プレーャはどうかと言うと、音色が美しいと思う。一音一音が美しいと感じる。 でもそれが仇となる時があっていくらなんでも これは やりすぎだという音を出す瞬間もある。 おそらくはアルファ なんだったか、という回路が備わっているせいではないかと思う。 その仕業でもあると思うのだけれどもいい時はいいが、しばしば やりすぎだと感じることがある。
欠点のない人間はいないように、やはり いいところだけ見てやろうではないか、とそう思うのだ。そうやって折り合いをつけているのが僕の持っている CD。

パイオニアの方はその辺り 別の回路も備えている。 年代もずっと 新しいし 使われている素子だって性能ははるかに良くなっている。
レガートリンクというこの回路の効果は抜群だと思う。 音の全てをきれいに整えてくれ 統一感を持って聞かせてくれる。
メタリックになりすぎることもないし とにもかくにも やりすぎというところ、

そういう部分がない。 それは聞いていてすごく安心していられるのである。

何を言っても 決して腹を立てることのない とても気立てのいい友達と話している 心持ちがする。言葉尻を捉えて激昂したりしないで全て受け止めてくれる 鷹揚さが安心感につながるのだ。