江古田の古本屋おやじは
商店街をブラリと歩いていると
かすかな文化の香りがする街並みなら
古本屋が一軒はある。
かすかな文化の香りがする街並みなら
古本屋が一軒はある。
そのたたずまいは
俺んとこ100年はやってんだかんね、
という雰囲気が漂っている。
俺んとこ100年はやってんだかんね、
という雰囲気が漂っている。
勿論 嘘だ。
このうさん臭さこそが古本屋の生命線なのだ。
このうさん臭さこそが古本屋の生命線なのだ。
私は引っ越しの準備をしていた。
そしてこの沢山の雑誌やらレコードやらを
どうすべきか考えあぐねていた。
そしてこの沢山の雑誌やらレコードやらを
どうすべきか考えあぐねていた。
田舎へ持って帰ればかなりの送料がかかる。
ゴミとして出せば、
日にちが違うとかで また大家がうるさい。
ゴミとして出せば、
日にちが違うとかで また大家がうるさい。
私はポーンと膝小僧を叩き、古本屋があった
ことを思い出した。
ことを思い出した。
古本屋までの距離はかなりあった。
先日人身事故があったばかりの
縁起でもない踏切を越え
さらにポールマッカトニーが歌う
長く曲がりくねった道を延々歩かなければならなかった。
縁起でもない踏切を越え
さらにポールマッカトニーが歌う
長く曲がりくねった道を延々歩かなければならなかった。
レコードはレコード買い取り店にまかせ
たまりにたまった厚くて重いステレオサウンドや
スイングジャーナル アドリブ ポパイやブルータス
などを手に食い込むひもの痛みを我慢して運び
やっと店にたどりつくことが出来た。
たまりにたまった厚くて重いステレオサウンドや
スイングジャーナル アドリブ ポパイやブルータス
などを手に食い込むひもの痛みを我慢して運び
やっと店にたどりつくことが出来た。
額にはうっすら脂汗がにじんでいる。
「これ売れますか」
私は尋ねた。
私は尋ねた。
今思えばこの地点で勝敗は既についていたのだが。
おやじは肩で息をしている私に同情することなく
「あれま、これね。はいはいはい よく持ってきたけどこれなんだよね」
「そこみて そこ ほら いっぱい積んであるでしょう」
「あれま、これね。はいはいはい よく持ってきたけどこれなんだよね」
「そこみて そこ ほら いっぱい積んであるでしょう」
「売れないんだよね この手のは うーん うん 売れない
全然駄目」
全然駄目」
おやじはこの時私の虚ろな表情を楽しんでいたはずだ。
そして追い打ちをかけて続けた。
そして追い打ちをかけて続けた。
「で、どーしよう、せっかく来たんだから うちも何とかしてあげたいんだけどさ」
「でもどうしようもないよね いくらにもなんないよ 売れないんだよねー」
「でもどうしようもないよね いくらにもなんないよ 売れないんだよねー」
落とした肩はもうこれ以上落ちようがないほど地面に近づいていた。
私にはもはや持って帰る気力はとうの昔に失せていた。
「じゃ いいです 置いてきますから 処分してください」
うら若き青年はそう言い残し店をあとにした。
うら若き青年はそう言い残し店をあとにした。
店主が何かブツブツ言っていたが それはもはや
耳には届かなかった。
耳には届かなかった。
あれから数十年が経過した。
最近オークションでこの手の雑誌が結構な値段で
取引されているのを見かけたりする。
取引されているのを見かけたりする。
定価の数倍というものまである。
突然ではあるが ここで
カンニング竹山さんにもご登場いただこう。
カンニング竹山さんにもご登場いただこう。
ではご一緒に
「おい! それあんときの!! 俺んじゃないだろうな ばきゃろー!!!」
みなさん古本屋さんと古物商さんにはきちんと交渉を。
今の世の中、お金にならない物はありませんから。