二宮敦人著『最後の医者は海を望んで君と生きる』。

最後の医者シリーズ第3弾。


結婚3年目を迎える藍香は夫の浩平を喪った。

絶対に助けてみせると懸命に治療していた担当医の福原は、それをきっかけに手術ができなくなり行方をくらます。 

物語は、藍香と福原のその後が交互に描かれていきます。


浩平が亡くなったその時、ICUを出て院内にいる患者やその家族を見た藍香が、「みんなの人生はまだ続いている。明日も、明後日も…それなのに浩平の人生だけが終わったらしい…」と心の中で呟き、全てが間違っている、と思う場面。


夫がICUで生死の境を彷徨い、意識不明だった時の私も、普通にそこにいるだけの夫婦や家族に、意味のわからない怒りを感じたことが何度もあった。

でも、それは表面上は分からないだけで、悲しい想いを抱えてる人だっているのに。

どれだけ喧嘩しても、イラッときたとしても、やっぱり一人になるって寂しいと、あの時、感じた想い。

6年も経つと、夫婦共に色んな意味で記憶が薄れてきているので、しっかりと話して、また一日一日を大切に過ごさなくてはと思いました。


藍香に寄り添った尋、福原に寄り添った桐子がいてくれて本当に良かった。

大切な人に先立たれた後、残された人々はどうやって生きていくのか?をテーマにえがかれた一冊。

読みながら、心にドーンと悲しみの塊がぶつかってきたような感覚。

色々思い出して辛かったけど、やっぱり好きなシリーズです。