安壇美緒著『ラブカは静かに弓を持つ』。

初読みの作家さん。

本屋大賞ノミネート作品なので、図書館予約では待てずに購入。


子供の頃のトラウマから人付き合いが苦手な橘は、上司からの命令で音楽教室に潜入調査へ。

チェロ講師の浅葉の生徒となるが、彼の奏でる音に魅了される。

プライベートでもチェロの練習に励み、浅葉を囲む会のメンバーにもなり、本来の目的とかけ離れ思いがけず充実した日々を過ごすのだが…。


何もかも木っ端微塵になってしまった時、橘が心療内科でこれまでのことを話せた場面がグッときました。

また、橘が楽器店で試奏する時の表現になぜか感動してしまいました。


橘が静かに弓を持つと、実際にチェロの音色が響き始めるのよりも早く、音楽が生まれていく刹那の空気を感じ取ることが出来た気がした。


これ、すごく分かるな〜と。


私もかつて自分のクラリネットを持っていました。

でも卒部して吹かなくなったし、手入れもしてなかったし、湿気などで音が出なくなって、数年前に思い切って処分しました。

たまに行く施設内に音楽教室があって、たまにのぞいてしまうんですよね。

大人の音楽教室、いつか行きたいです。

本当はチェロの音色が大好きだけど、小柄な私には無理なので、チェロは聴く専門で。

コンサートにも行った事のあるヨーヨー・マのCDも久しぶりに聴いています。


一冊の本で、色んな感情が蘇ってきました。

ブロ友さん達の評判通り、読んで良かった一冊でした。