凪良ゆう著「汝、星のごとく」。
図書館の予約を待てずに購入したけど、予約本に追われ積読してました。
瀬戸内の島で育った暁海と島に転校してきた櫂。
男にだらしない櫂の母や、愛人の元へ走った暁海の父とその父をあきらめきれずに精神を病んでいく母。
共に親の都合に振り回され苦しんでいた二人は、次第に惹かれ合う。
やがて夢を叶えた櫂は上京するが、母親に縛られた暁海は島に残り、遠距離恋愛が始まった。
印象深い櫂の言葉。
生まれるとき、人にはそれぞれあたえられるものがある。それは輝く宝石だったり、足首にはめられた鉛の球だったりする。なんであろうと投げ出せず、それはおそらく魂に組み込まれたものなのだろう。生まれて死ぬまで、誰もがあえぎながら己の魂を引きずる。
そうだよなぁ…
もう知らないよとはできないのが血の繋がりで…それにずっと苦しめられる。
瞳子さんが暁海に言ったこともその通りだった。
お金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。誰かに従わなくていい。
昭和に生まれた世代にこういう事を言ってくれる人、少なくとも私の身近にはいなかった。
こういうことを言われて育ったら、きっと今は違う道を歩んでいただろうなぁ。
この二人、何も問題のない家庭なら出会わなかったし、夢を叶えることもなかったのだけど…。
それでも親の犠牲になってしまったのはあまりにも読んでいて腹がたった。
分かっていたけど、世の中は不公平だな。
救いは北原先生の存在。
暁海には北原先生と穏やかに幸せな日々を過ごしてほしいと思う。
結末は私には悲しすぎて、せつなすぎて…とてつもなく寂しさを感じた。