宮本輝著「水のかたち」。
東京下町・門前仲町に、夫と三人の子供と暮らす志乃子は、喫茶店かささぎ堂で154年前の文机に惹かれる。
店主が店を閉める事になり、ガラクタだから何でも持って行ってよいと言われ、鼠志野の茶碗と、味わいのある手文庫を貰い受ける。
手文庫には、敗戦後に北朝鮮から命がけで帰国した家族の手記が。
志乃子は、その持ち主を探し始めると同時に、鼠志野の茶碗から骨董の世界へといざなわれていく。
この主人公はちょうど今の私と同年代という設定でした。
だから、体調の変化だったり、考えだったりに共感できました。
普通の主婦だった志乃子が、最後には思いもよらぬ人生を歩む事になります。
またしても、宮本輝さんの描く人と人との繋がりから生じる縁について、深く考えさせられました。
心に残った言葉。
「石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません」。
ロダンの言葉(高村光太郎訳)。