砥上裕將著「線は、僕を描く」。
ずっと前に図書館に予約していて、すっかり忘れた頃に順番がきました。
高校生の時に事故で両親を喪った青山霜介は、悲しみの殻にとじこもっていた。
とりあえず大学へと進学し、唯一友人と呼べる古前君に頼まれたバイト先で、ある老人と出逢う。
その柔和な表情をした老人は、有名な水墨画家篠田湖山だった。
湖山に半ば強引に、あれよあれよと言う間にいつのまにか弟子にされてしまった霜介。
両親が亡くなってから、自分だけのガラスの部屋に閉じこもり、そこからいつもまわりを見ていた霜介のその経験は、水墨画に通ずる部分があった。
両親の死ときちんと向き合えた時に、心を動かす水墨画が描けるのだ。
心の動きが体に伝わり、身体の動きが指先、そして筆へと…。
水墨画を書く様子をユーチューブで見てみました。
素晴らしいですね。
この作家さん自身、水墨画家とのこと。
だからこんなにも緻密な表現ができるのだなと思いました。
孤独の中にいた主人公が、友人や師匠や同門の人達と触れ合いながら、少しずつ立ち直っていく様がよかったです。