井上荒野著「あちらにいる鬼」。
たまに読みたくなる作家さんで、食べ物にまつわる小説が好きです。
長内みはるは、夫と娘を捨て、愛人と暮らす小説家。
ある時、仕事で一緒になった気鋭の小説家白木篤郎と恋に落ちる。
白木の妻笙子は、いつも愛人のいる夫の後始末をしながらも、平然を装う。
白木の故郷の佐世保へ旅したみはるは、どうしようもなく白木を愛していることに気付く。
いとしくて仕方ないけど、もう終わりにしたい。
そして出家という道を選ぶ。
そこから二人の関係性は変わり、笙子も交えた不思議な三角関係が始まる。
みはるが出家したところで、ハッと気付きました。
長内みはる→瀬戸内寂聴さん
白木篤郎→井上光晴さん
井上光晴さんは存じ上げませんが、本書の著者井上荒野さんのお父様です。
本書は、井上荒野さんが、お母様と寂聴さんの目線でお父様を描かれたもののようです。
どうしようもない白木ですが、妻笙子もみはるも、嫌いにはなれない、愛していた、それほどに魅力のある男性だったんだなぁ。
荒野さん5歳の時から始まった、父と寂聴さんの関係。
寂聴さん以外にも次々と女性との恋愛にはまる父と、それをなじらない母のもとで育った子供の感性はどうなるのか?
そういった環境と父から受け継いだ才能で、今はこうして小説を書いておられるのだなぁと感じました。