宮本輝著「野の春」
流転の海第九部、完結編。 

第一部 流転の海
第二部 地の星
第三部 血脈の火
第四部 天の夜曲
第五部 花の回廊
第六部 慈雨の音
第七部 満月の道
第八部 長流の畔
第九部 野の春

主人公の松坂熊吾は、作者宮本輝の父をモデルとしており、息子伸仁は作者のことである。
熊吾は、50歳にして子供が生まれ、なんとか息子が二十歳になるまでは生きていたいと願ってきた。
何度も事業に失敗し、家族は貧しい生活を送ることとなる。
貧しくとも学問だけは身に着けさせるべきいう考えで、伸仁は大学に通う。
第九部では、晩年の熊吾が描かれている。
ギリギリまで人のために生きた人、どこにいても、いつの間にか周りから「大将」と呼ばれる人。
だが、その豪放磊落な性格のせいで、妻や息子は、随分と大変な思いもする。

このシリーズは、宮本輝さんのライフワークで、実に37年の歳月を費やしました。
私は読み始めたのは、10年ほど前から。
赤ん坊だった伸仁が、いつの間にか、自分の息子と同年齢になり、この作中の熊吾の妻房江目線で読み進めていました。

熊吾の事業の成功と失敗、房江への暴力、しかし伸仁への深い愛情…房江の自殺未遂などなど、宮本輝さんは壮絶な過去を生き抜いてこられたなと思います。
全巻そろったところで、もう一度第一部から通して読みたい作品です。