私は初詣については気まぐれ。毎年必ず1日に、と決めてしまうと、もし、どうしても行かれなかった時など、何だかモヤモヤした1年を送ることになりそうで。

 

 というわけで、行ったり行かなかったり、日にちも元旦に限らず、気が向いたらお詣りしている。願掛けもせず

「日々ありがとうございます」

と手を合わせてくる。

 

 我が家から徒歩で20分ほどのところに、氏神様が祀られている神社がある。小さくて古い、いかにも地域の人々を守ってくれそうな神社だ。秋には祭りもあって子供たちが神輿を担いで練り歩く。年越しには和太鼓の演奏や獅子舞などもある。お神酒や甘酒がふるまわれ、子どもにはお菓子が配られる。

 

 我が家の子どもたち、お宮参りや七五三など、こちらでご祈祷してもらった。

 

 私は、今年、元旦に急に思い立って、行ってみた。すると鳥居の外まで長蛇の列となっているではないの!こんなの見たことなかった。この地域の人口が増えているとは思えない‥‥‥、とすると

「人々が神様に頼りたくって、それだけ世の中が不穏ってこと?」

 

「30分はかかるかな。寒いなあ」

と、列の最後尾に並ぶ。そう思うことが、不謹慎です。

 

 ところが、少しして、私の後ろの方から若い人たちの声が聞こえてきた。こういうのが大好きな私は待ってましたとばかりに歳のせいで少しばかり聞こえの悪くなってきた耳をフル回転させる。

 

 「お賽銭をPayPayで納めることができる神社があるらしい」

「そのうちに全国の神社がそうなるかもよ」

「そしたら、家に居ながらにして自分で行きたい神社を選んでお賽銭納めることができるようになるとか?」

「そうそう、今年は出雲大社行ってきた、とかさ。行ってもいないのに」

「ご利益なさそーーーーー」

ゲラゲラゲラと笑い声が響く。

 

 私はちらりと振り返ってみたけれど、その正体は分からず。どうも地元の若者20~30代くらいの男女数人と思われる。お正月に集まった感じだ。すっごく楽しそう。

 

 その後も続く。

「胸やけと胃もたれの違いは何か」

「食道の辺りと胃の違い」

「オマエ、そんなにはっきり自分の身体わかってんのかよ?」

「上か下かの違いじゃね?」

 

「煮しめと筑前煮の違いは何だ?」

「ウチはおばあちゃんがよく筑前煮を作ってくれた」

「えっ?ウチはじいちゃんが煮しめを作ってた」

「じいちゃんすげえなぁ」

「なんだよ、煮しめと筑前煮って、作った人の違いかよ」

ゲラゲラゲラ。

 

 さすがに、とっくに成人を過ぎた感じの様子で、神社という場所をわきまえているらしく、声は大きくない。だから私は時々聞き逃す。これが私にとっては残念でたまらない。私は輪に入れてほしかったくらい。

 

 と、そんなわけで待ち時間もあっという間で私は参拝してくることができた。

 

 今、「胸やけと胃もたれ」「煮しめと筑前煮」それらの違いは即座にAIさんが答えてくれる。でもね、私はこの「人の会話」が好きだ。あーだ、こーだ、と正解とは程遠い話をして笑える。仕事などはスピードが大切だから、AIは役に立つ。が、この人たちが

「じゃ、AIに聞くわ」

になったら

「へぇ~、そうなんだぁ」

とそこで終わり。笑いなど起こるはずもない。

 

 今年、何年振りかで初詣に行ったら、思いがけなく楽しい気持ちにさせてもらって、年始早々、縁起がいい。

 

 ありがとうございました。