私は裁縫が苦手だ。それだけでなく、主婦業と言われるものははっきり言って嫌いだ。それでも料理だけはやらなければならないから何とかできるようになった。掃除も嫌いだけれど、きちんとしているのは気持ちいいから頑張ってきた。あ、掃除と整理整頓は大きく違うと思うけど。そうそう、私は掃除は不得手だけど、整理整頓はまあまあ好きかも……。

 

 そんな中、どうにも後回しにするのが裁縫だった。雑巾を縫うとか、ちょっとした刺繍くらいならばなんとかなる。ごまかしがきく、と言おうか。私が嫌いだったのは、夫のズボンの裾上げとか着物の半襟付け替え、子どもの背番号付け、さらにアイロンがけ。一生懸命にやっているつもりが、なんで終わった時にズボンのセンターラインが2本になってしまうのだろう?なんでこんなところにギャザーが寄ってしまうのだろう?しつけをしたのに曲がってしまうんだろう?

 

 ある日、母に

「できない」

と言ったら、こんなことを言われた。

「『できない』っていう人は、できないんじゃなくて、やる気がないだけ」

誠にその通りであります。なにも100Mを10秒で走れと言っていない。100Mを歩けばいいんだよ。私は歩く気もないってことだ。確かに出来不出来はあるが

「やりやりすれば、腕も上がる」

と母は言った。そうね、確かに料理は形になってきた。

 

 最近夫が

「俺は料理だけはどうしてもできないな」

と言った。

「それはやる気がないだけだよ。食材を入れて調味料を入れるんだから、何かできるはず。食べられないものを入れるわけじゃないんだから。鰹節の代わりに鉛筆の削りかすを入れるわけでもあるまいし!」

と母の言葉を拝借し、さらにオリジナルを加えた。夫は黙ったまま、聞こえないふり。

 

 そういえば、先日どなたかが

「夫は育てるもの」

とテレビで言ってらしたわ。なるほどね。