実家の母がお釜愛用者であったため、私も結婚後ずっとお釜でご飯を炊いている。そう、帽子を逆さにしたような鍋に木の下駄をこれまた逆さにしたようなふたのついたあれ、羽釜である。近所の金物屋さんやデパートには売っていなくて、結婚が決まって、母と一緒にわざわざ浅草のカッパ橋商店街へ行ったことは良い思い出だ。

 

 ご飯と言えば、以前は外食先で、団子のような塊や黄色っぽいのが出てきて、おいしくないと思ったこともあったが、今ではそんなことはない。電子炊飯器やガス釜の性能がアップしたのだろう。それでも我が家(私)はこだわりを持ち続け、一回ごとにお釜で炊き上げ、食べきる。残った場合はラップにくるんで次回にレンチンだ。友人たちは「何よりの贅沢」といってくれるが、自己満足の世界かもしれない。

 

 長男が2歳の時、公園仲間のお友だち親子が遊びに来てくれた。その中のお一人がお釜を見つけて感激し、新聞に投稿したため、後日取材が来た。写真を撮ってもらったり、インタビューされたり。それから数日間はどんなふうに新聞に載るのか楽しみだった。

 

 その日の朝……もうびっくり!「私の強い希望で、新婚旅行から帰ってすぐに夫と二人でお釜を買いに行った」とか「夫が会社で『オカマ党』と呼ばれている」とか、身に覚えのないことばかり。記事にしていただきうれしかったので、ただただ笑えた。

 

 あれから30年以上が経った。我が家のお米の消費量も随分と減った。子どもらはそれぞれ独立、次男は他県での寮生活だ。コンビニ、定食屋を利用しつつ、自炊もするようだ。働いているのだから、独身貴族として、たまにはそれなりのご飯屋さんへも行っていることだろう。彼は、ここ数年、コロナでなかなか帰省することもなかったが、先日久しぶりに戻った。

 

 「うちのメシ以上にうまいメシに出会ってない」

って言われた。嬉しかった。

夫婦二人分となった今では、

1回に炊く量が少なすぎて

おいしそうに見えない悲しい

 

ちょっとした自慢話

 

 

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