年に2回「春分の日」と「秋分の日」は、私にとって祝祭日だと思っていた。お休みだと思っていた。結婚する前までは‥‥‥。

 

 夫の実家はその昔農家をしていたそうだが、義父は商売を始め、私が夫と知り合った頃、農産物で生計を立ててはいなかった。

 

 私が夫と結婚を決めた頃、父は、夫の実家が本家であることを知った。

「本家は大変だよ」

と父はあまりいい顔をしなかった。

 

 私は

「農家をやっているわけでもないし、『本家なんて、そんな家柄じゃない』と彼も言っているよ。それに、自分で決めたから、あとで不平不満は一切言わない」

と偉そうに言った。そして、父も

「自分で決めたのなら」

と賛成してくれた。 

 

 あれから40年‥‥‥。義父は頑固なところはあれど、私には厳しいことも言わないし、義母は優しかった。そもそも別居だったし。

 

 けれども本家だった。家柄は関係なかった。本家だったのだ。「春分の日」と「秋分の日」ってお彼岸の中日で、お墓参りの日だった。

 

 私はそんなこと知らなかった。その昔、父に連れられておじいちゃんおばあちゃんのところへ行ったっけ。お墓から戻ると伯母さんが

「beachan、うどん食べな」

と言ってくれて、ごちそうになった。手作りのおはぎもあった。それほどの記憶しかない。

 

 その日、義父の家に兄弟姉妹が集う。義母の兄弟も登場。夫の兄弟もご家族でお出まし。おもてなしをするのが私の役目。たった1人でその役を担う。

 

 そうそう、お盆もね。今でもちょうちんをぶら下げてご先祖様のお迎えに行く。

「ぼん様ぼん様、このお灯りでお越しください」

なんて、言いながら。今時東京でもこんなことやるんだ……。小さい頃、 父の本家の入口で見た。ナスとキュウリに4本の割り箸がさしてあるものが立っていた。アレは何だったのか、私は結婚して知った。

 

 義母の生前中は私はほんのお手伝い程度でよかったけれど、今ではメインパーソンだ。お休みだと思っていた祝祭日、これが結構しんどい日となった。年に数回なんだけど。

 

 今さら

「実父の言うことに耳を傾けておけばよかった」

とは言わないけど、家柄に関係なく本家にはやるべき事があった。そんなこと、知らされなかった。

「夫よ、これは詐欺ではあるまいか?」

こんなこと言ったら罰が当たるかな‥‥‥。