私は小学生の頃、テレビでアナハイム(当時は場所なんて知らなかった)のディズニーランドを見て
「アメリカにはこんな楽しいところがあるんだぁ」
と思った。だから、年月が経ったとはいえ、それが、日本にできたなんて驚きだった。
その頃私は20代。でもデートで楽しむことはできず、結局初めてのTDLは長男が2歳ころのこと、母としての入園だった。若い時に彼氏と行ってみたかったなあ。友だちと行きたかったなぁ。悔やまれる。
私はミッキーミニ―になったつもりでキャーキャーしても黄色い声とは程遠く、仮装は恥ずかしかった。カチューシャレベルが精一杯。
孫Aくんと行ったときには
「おかあさん、明日誕生日だから、ワッペンもらえるよ」
と息子に言われて付けたものの、キャスト(スタッフ)さんにその都度おめでとうの声掛けをされ、最後には
「ありがとうございます」
の声も小さくなってしまったっけ。そんなに誕生日が喜ばしい年齢でもなくなっていたし。
ある時長女に
「ランドでは大人が子供料金で入ってもお咎めなしなんだよ。だって夢の国だから」
と言われ、びっくりした。でも試す勇気もなく、そこまでして楽しめるか?って考えたら、絶対にやらないよ。本当だろうか?そして、そんなことする人いるのか?これは私の中では未だに都市伝説。
その昔、私はパートとして未就園児の親子サークルの先生として働いたことがあった。先生なんて言うと偉そうですが、子ども好きな私は一緒に遊んでいた、って感じだ。その際に上司からのお達しがあった。
「TDLでの子どもの連れ去りが多発しているからお母さま方に注意喚起してください」
というもの。誘拐された子どもは海外に連れて行かれて人身売買されるというのだ。何と恐ろしいことか。現代においてそんなことがあるのか?半信半疑ではあったが、お母さま方にお伝えした。
それから間もなくのことだった。友だち数人とおしゃべりしていた際に、そのTDLでの誘拐の話が話題に上った。ある1人のママさん、妹さんがその恐怖に巻き込まれたという。
妹さん家族が遊びに行き、子どもくんがトイレに入った。友人にとっての甥っ子ちゃん。男性用に1人で入らせ、ママは出口で張り付いていた。ところが、一向に出てくる気配がない。不安になった彼女。中で何か予期せぬ事が起こってしまったか?こんなことならパパに一緒に入ってもらうべきだった。パパは今ごろお姉ちゃんと絶叫アトラクションに夢中だろう。子どもの年齢が離れていたので、ある時間帯はペアで別行動と決め込んでいたらしい。
トイレに入ろうとしている親子連れに 思い切って声をかける。
「すみませんが、中に6歳の男の子がいるはずなんですが、見てもらえますか?何か困っているようだったら、教えていただけますか?」
確認してもらったところ、中にそんな男の子はいないという。焦った彼女、すぐにキャストに伝える。 ご主人にも伝える。そこからがさすがのTDLです。
どうも園内に流れる音楽が瞬時に変わるらしい。すると教育を受けていたキャスト全員がその異変、危険、事件に気づく。出入口は1カ所に絞られる。念のためあらゆるゲートにそれなりの方が張り付く。1つの場所に該当者家族が呼ばれる。その間も周りは何事もなかったように笑顔に包まれている。
パパママお姉ちゃんは、目を凝らして、キャストのアドバイスに従って、出ていく人を見つめる。
男の人が眠った女の子を優しく抱いて出ていこうとする、その姿‥‥‥。スカートもトレーナーも靴も見たことの無いものだったが、靴下は今朝、自分がはかせた物に間違いなかった。かつらを被らされた息子だった。
助かった!無事だった!
あくまでもお聞きした話です。ただ、友人は、嘘をつくような方ではない。その彼女のお話です。その後のことは知りません。TDLは夢の国、その対応力、すごいなあ。心の底から良かったと胸を撫でおろしました。
何年も前のことなので、今ではさらに、心置きなく楽しめる場所になっていると思いますが、パパママさん、くれぐれもお子さんの手を離さないでね。テーマパークや商業施設、人の集まるところ、人気のないところ、全ての場所でね。
最後にもう一度……真実は定かではありません。友人の妹さん家族のお話です。嘘のような本当の話?本当のような嘘の話?です。