こんにちは![]()
胚培養士の柳佩君から精液採取時の禁欲期間と生殖補助医療(ART)の成果との関係についてをご紹介いたします![]()
ARTの成果は、卵子の質だけでなく、精子の質にも大きく左右されます。精子の質には、年齢、BMI、食生活、DNA断片化、禁欲期間など、多くの要因が影響します。禁欲期間が精子パラメータに影響を与えることはよく知られていますが、精子の質との相関関係はしばしば見過ごされがちです。
WHOの勧告によると、男性は禁欲後2~7日後に精液サンプルを採取し、分析を行うべきです。文献によると、禁欲期間が長いほど精液量と精子濃度は増加するものの、運動性は低下すると報告されています。しかし、最近の研究では、異なる禁欲期間(1日未満、2~3日、4~7日、7日超)で採取した精液サンプルについて、精子パラメータ、精子DNA断片化率、受精後の2PN形成率、移植後の妊娠率、生児出産率の違いが比較されています。研究結果によると、短期間の禁欲(3日未満)は精子濃度を低下させる一方で、精子運動性の向上、DNA断片化の減少、異常受精率の低下をもたらし、精子の質の改善を示しました。
なぜ精子の質は禁欲期間
と関係があるのでしょうか?
それは、精子が精巣上体(副睾丸)へ輸送され貯蔵される過程で、活性酸素種(ROS)に曝されるからです。過剰な活性酸素種(ROS)への長期曝露(酸化ストレス)は精子に損傷を与える可能性があります。したがって、禁欲期間を短くすることで、精子の酸化ストレスへの曝露を減らすだけでなく、エピジェネティック修飾(epigenetic modification)、精子細胞質内イオン濃度(Na+、Ca2+)、pH、精液組成の変化も最小限に抑えられ、より若く健康な精子が得られるのです。
