地味でイヤな傑作『イニシェリン島の精霊』 | ブラジリィー・アン・山田の活動日記『もう少しだけマシな理由』

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脚本家、演出家であるブラジリィー・アン・山田の活動日記です。主に、カレーや映画や変なグルメや宣伝のことを書いております。

 

『イニシェリン島の精霊』見ました。

 

『スリービルボード』のマーティンマクドナー監督の最新作です。

 

年上の友人に急に絶交された孤独な男の物語。

おっさんがじいさんに絶交されたというだけの”どうでもいいわ!”というお話なんですが、これがあれよあれよと後戻りできない状態に。


主人公演じるコリン・ファレルは、毒にも薬にもならない”いいやつ”で、眉毛をハの字にし、困った顔で呆然とする彼に、『ファーゴ』のウィリアム・H・メイシーを思い出した。

コーエン兄弟だったら、もっとポップなオチをつけるだろうが、マクドナーはこれからも続く島の暮らしのように、結末は描かない。

こんなことが延々とありとあらゆる場所で続くのだ。

 

主人公のパードリックにはあまり感情移入できない。

しかし、もしかしたら自分がそうなってしまう可能性は否めない。

 

自らが招いた災いなのか?だれかのせいなのか?

 

この世にはそんなことが溢れている。