仮面ライダーZERO(ゼロ)
第六話
「伝説の戦士仮面ライダーの出現と美華の15歳の誕生日」


美華が通う女子校に入学する事となった雷太だったが、それは美華達による強制入学ならず、その学校の理事長が下ろした許可により、入学が決定したのであった。

その一方、ヴァイゲル首領はと言うと…
デッドヘルザーの下っ端(したっぱ)兵士のヘルザー兵の内一人が、早速ヴァイゲルに質問を問い詰めてきた。
「ヴァイゲル様!!
ライダーゼロはまたしても生け捕りに失敗しましたが、あの時何故美華と言う小娘を殺さなかったのですか!?
ヴァイゲル様が本気さえ出していれば、あんな小娘等、一撃で殺(や)っていたのに、何故あんな小娘如きに、手加減などと…」
するとヴァイゲルはこう言い出した。
「功(こう)を焦るな、ヘルザー兵。
確かに私があそこで本気を出していれば、並の人間やあの小娘美華を殺(たお)す事等、容易(たやす)いのは当然だ。
私があの時初めて美華とのタイマン勝負をしたときだって、私が単にあの小娘美華を相手に、あえて手加減をしていたのは、単に美華と言う小娘の腕試しと言う理由だけではない。
あの小娘は、あの熊田五次郎の実娘…。
熊田五次郎の事も聞き出さなければならんのでな…。
それにあの小娘は、ライダーゼロと同じように、打たれる程強さが増す。
私の期待に応えてくれそうな輩(やから)だ。
そんな小娘美華を今すぐに私の真の力で殺すのは惜しいものだ。
特に、ライダーゼロ…漢堂雷太。
ヤツ(雷太)を殺してしまえば、デッドヘルザーや貴様達ヘルザー兵の存在は亡きものになる事を、忘れてはならぬぞ。」
そんなヴァイゲルに対して、汗だく寸前になりつつも応えるヘルザー兵。
「ですよね…。」
そしてヴァイゲルは美華と今日初めて雷太が通い始める学校から妙な匂いを感じ始めた。
そして心の中で呟(つぶや)き始める女首領ヴァイゲル。
「(小娘美華の学校に妙な匂いを感じる…、!!もしや…!
……フン、かつてのヘルズの匂いを感じるな…。
興味深い…あそこをまた、訪れてみるか…。)」

そして美華の学校。
ここでは従来通りのお嬢様女子校でありながらも、前話からの続きとして、初の男子生徒として、仮面ライダーゼロである漢堂雷太を、新たに迎え入れたのである。

そして美華のクラスの教室。
そして雷太自らからの自己紹介。
「漢堂、雷太…です。」
そして美華らの担任教諭である女性教師、優子先生はこう言って雷太をクラスに迎え入れた。
「皆さん、彼はなんとあの伝説の英雄である仮面ライダー、その名もゼロとして私達や世界中の命運のためにいつも戦っております。
皆さん、仲良くしてやってくださいね。」
そしてクラス全員の声。
「はぁ~い!」

そして優子先生は早速、今回が初入学の為にまだ席が決まっていない雷太の席を決める。
「雷太君の席は…、そうだ!
実は席替えと同時にこのクラスから引っ越しした子が一人いてね、そしたら美華の隣が空いちゃったのよ。
だから雷太君の席は美華の隣の席にしましょ。」
優子先生はそう言うと、雷太を美華の隣の席まで案内した。

そして美華の席。
雷太は早速その席に座ることに。
そして美華は雷太にこう言う。
「良かったわね、学校でも私の席と隣になれて。
アンタのことバンバン扱(しご)いてやるから、覚悟してよね。
これ以上この学校でもあんまし引っ込み思案にならないようにね!
明るくいきましょ明るく。」
美華はそう言いながら雷太のほっぺたを抓(つね)り出した。

ギュ~ッ

それにより痛がる雷太。
「美華、ちょ…痛痛痛痛痛…」
美華はその後、抓(つね)っていた雷太のほっぺたから手を離した。
そして雷太は突然美華に質問をした。
「う、うん…
でもそれより、今日は確か、キミが前に言ってた、誕生日だったよね、確か。」
雷太がそう言うと、美華はこう言い出す。
「ハァ!? アンタバカなんじゃないの?そんなの当然でしょ。
まさか、うっかり忘れてたとか言わせるんじゃないでしょうね?
今日でアタシは15歳になるんだから、祝ってよね。
まぁアンタはアタシらと違って年が分からないみたいだけど…でもアンタってアタシらより若く見えるし、なんか少しアタシらより女の子っぽいとこあるわよねアンタ。
それにこんなお嬢様学校にアンタみたいな男が入学したところで、何の違和感なくスンナリ入られたわよね。」
美華からそう言われて困惑する雷太。
「…そうかなぁ?」雷太がそう言うと、美華は…
「なぁによ、赤くなっちゃって。
テレてんの? アンタって意外とカワイイわよね。」
と言いながらも美華は雷太の顔に自分の顔を近づけた(それも雷太の反応を楽しむつもりで)。

そんな美華と雷太が会話をしている間に始まるクラスの授業。
優子先生は
「さあ一時間目の授業に入りま~す。」
と言って授業を始めようとしたその瞬間…

突然、何者かが雷太や美華のクラスにやってきた。
「漢堂雷太、この学校に入学したヤツがいるクラスはここだったのか。」
やってきた者はなんと、かつて世界を恐怖に追いやり、滅び去ったヘルズ帝国によって人体改造を受け、ヘルズ怪人のダンゴ虫怪人、ヴァルゲイアヘルズもとい仮面ライダーヴァルゲイアとして改造された、あの矢吹源五郎であった。
「随分と久しぶりだな、優子。」
かつて、あの「仮面ライダートリロバイト」(番外編=劇場版)で活躍していた源五郎がそう言うと、優子先生は驚きを露(あら)わにする。
「げ、源五郎さん?
どうして今こんなところに!?」
優子先生がそう言うと、源五郎はこう言った。
「今日新入生としてこの学校に入学した…いや、ここの生徒らによって入学させられた漢堂雷太、オレはヤツのことを知っている。
そしてこの学校で問題となってる行方不明となったある一人の生徒の事もな。」
すると優子先生は悩んだ後にこう言う。
「えっ?あなたが、雷太君の秘密を…?
う~ん、ここの学校で行方不明の生徒っていたかしら…?
でも、いきなり来て悪いけど、今からこのクラスは一時間目の授業なの。
理事長の許可を得てこの学校に入ったかもしれないけど、話は後にしてもらえるかしら?源五郎さん。
悪いんだけど…」
優子先生がそう言うと源五郎はその場を去って行った。
「分かりました。
じゃあ、お言葉に甘えて今後の昼の休憩時間にでも…」

ところが源五郎を見た美華のクラスの生徒達は、雷太と同様に源五郎を歓迎し、迎え入れ始めた。
「キャーイケメン!!」

それに呆れる優子先生…。
「…。」

女子生徒らからの熱い要望により、雷太に続いて源五郎もまた、クラスの一員となったのである…。
そして改めて授業が始まる一時間目…。

そんな中、それを影から覗くように見つめる者が一人…
それは、一見、女子高生のような姿をした一人の女子生徒。
その女子生徒はその影でこう呟いた。
「やはり奴だったか、矢吹源五郎…。
かつてヘルズから密かに人体改造を受けたヤツが何故ここに…!?
…フン、だがまぁいい。
このクラスにヤツが入ったとて、何も変わらん。
かつてのヘルズ怪人だった仮面ライダーとて、この私の敵ではないのだ…。
そして今にこのデッドヘルザー、カメレオンヘルザーを使えば、フフフ‥。
今度こそあの漢堂雷太、ゼロを生け捕る時だ!!」
なんと、その女子生徒は、女首領ヴァイゲルが変装した姿だった。

そして、学校の授業が終わって下校時間に因む放課後。

美華は雷太や自分の友達、更に源五郎を迎えて自分の誕生日パーティーに招待しようとした。
「‥…じゃあみんな、場所はあそこの喫茶店だからね。
おやっさんと私がいるあの店、と言えば分かるわよね。」
源五郎は美華の誕生日パーティーにこう言う。
「誕生日パーティーか…。悪くもないな。
思えば誕生日パーティーは舞華の誕生日パーティー以来実に久しぶりだな。
こうして、しかもお前らとやるんだからな。
大勢での誕生日パーティーは初めてだ。」
源五郎がそう言うと、美華はこう言った。
「ま、舞華先輩!?
思い出したわ!舞華先輩!!
源五郎さんの妹だったなんて、アタシ知らなかったわ。
で、舞華先輩は元気?」
美華がそう言うと源五郎はこう言った。
「舞華は今も元気だ。
…確かにそうだったな。
舞華は俺の妹だ。
美華は確かヘルズの事件が起き続けてる時は単に顔を出さなかったもんな。」
源五郎がそう言うと美華はこう言った。
「うん。何せアタシはそのとき世間で大暴れしていたヘルズって悪の一味に、父さんや母さんを誘拐されてね、
それでそいつらの人体改造やらでアタシの父さんや母さんは、命を落としちゃったの…。
グズ…(零(こぼ)れ落ちる涙を拭(ふ)く)
アタシはそのときからヘルズみたいな悪の一味が許せなくてね…だからアタシは、その間に悪と戦うために腕を磨く訓練をしていたんだけど、その分そのときは、源五郎さん達仮面ライダーの前には顔を出さなかったわね…。
でも、舞華先輩や、麗華先輩ともいつか会えるといいわよね!!
さ、今日はみんなでイヤな事なんか忘れて無礼講(ぶれいこう)よ!
さあ、帰ってアタシの誕生日パーティーよ!」
気持ちを切り替えて張り切り始める美華を前に源五郎は、
「あ、ああ…」
少し呆れながらも美華の誕生日パーティーへの参加をしたのであった。
そしてその誕生日パーティーには美華や雷太達の担任の優子先生も参加に来たのであった。
「みんなして張り切ってるわね~。」
やってきた優子先生を喜ばしく迎え入れる美華や夏美ら生徒達。
「あっ、優子先生~!!」

そして熊田のおやっさんの喫茶店。
早速、美華の誕生日パーティーが行われた。
「ハッピーバースデイ美華ちゃーん♪
ハッピーバースデイ美華ちゃーん♪
ハッピーバースデイ、ディア美華ちゃーん♪
ハッピーバースデイ美華ちゃーん♪」
そしてバースデイケーキの蝋燭(ろうそく)の火を吹いて消す美華。
「フゥーッ」
そして祝う友達と優子先生に加え、雷太と源五郎とおやっさんの三人。
「美華ちゃんお誕生日おめでとーう!!」
今回の誕生日パーティーで15歳を迎える美華であった。

だがその後…
そこへ女子生徒の姿に変装をしたヴァイゲルが現れ、美華へのバースデイプレゼントに因み、美華へ自分の接吻(せっぷん=キス)をしようとした。
「お誕生日おめでとう美華。
これは私からのプレゼントだ。
受け取るがよい。
ンゥ~(声は出さず静かにキスをする構えのヴァイゲル変装体)」
美華はすかさずヴァイゲル変装体からのキスを交わした。
「おっと、いきなりあんたみたいなレディーがこのレディーにキスするなんて何のつもりよ!!
気持ち悪いわね!
どこの誰よ、正体を見せなさい!!」
ヴァイゲル変装体は早速自分の本性を現した。
「フン…私は、デッドヘルザーを束ねる女首領、ヴァイゲル!」
正体を現したヴァイゲルを前に逃げ惑う夏美ら美華の友達全員。
「キャーッ!!」
雷太と源五郎はヴァイゲルが現れた為に、戦う姿勢に入った。
そして雷太はヴァイゲルにこう言った。
「ヴァイゲル! 変装して美華に接吻とは一体、何のマネだ!?
特にこの前オラにキスをしたのはなんのつもりか分からんけどな、行くぞ!」
雷太の言った事を聞いて困惑する源五郎。
「? ヴァイゲルから、キスを受けただと!?
どう言うつもりだ、こいつらは…?」

そして優子先生は、何故か夏美らと違って逃げようとはせず、女首領ヴァイゲルを相手に、何か動揺をし始め出し、何かを思い出そうとしていた…。
「…あれが世間を騒がせているデッドヘルザーの親玉の…女首領、ヴァイゲル。
…あの人…どこかで見たことが、
!? もしかして…!!」


次回
仮面ライダーZERO(ゼロ)
第七話
「それぞれの過去 明かされし真相」